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混乱
つか、つーかさ、絶対変じゃん。
何この変わり様は!?
昨夜は俺の事好きっつったじゃん!
ひと晩明けたら好きじゃないとか……、はっ!まさかまた俺ヤリ過ぎた!?
もしかして、イヤって言われたのにやめなくてがっついたことで、怒らせてる…!?
だって、そういう時のイヤって、気持ちいいってことだと思うじゃん!!
焦ってるせいで、せっかく用意してくれた朝飯の味も良くわからん。
とにかく一気に食い終えて、何か言われる前に即行流しに運んで食器を洗って、
「すいませんでした!!」
思い切り頭を下げた。
はぁ…──と、息を吐き出す音が聞こえた。
「スーツがクリーニングから戻ってきたら、皐月くんに渡します。僕のスーツも、皐月くんに渡してくれれば結構です。下着は、捨ててもらって構いません」
それは、もうここに来るな、と言う事だろうか。
もう2度と会いたくないほどに嫌われたのだろうか。
「リュートさ──」
「鍵は開けっ放しで大丈夫です。
夏木くん…、やっぱり、さようならです」
目を合わせないまま背を向けて、出口へ向けて歩き出す。
「っ………」
あーっ、もう!
不快なら、がっついた俺が嫌いになったんなら、なんでそんなに背中が淋しそうなんだよ!
なんで泣きそうな声で、さようならとか言うんだよ!
「ッ──フザけんな!何考えてるか分かんねーんだよ、アンタ!!」
怒鳴り声に、背中がビクッと震えた。
ノブに掛けた手が離れ、拳をきゅっと握る。
「俺のこと、嫌いになった?そもそも好きじゃなかった?俺が前のオトコ達と違ってアンタの体を隅々まで舐め尽くせるから、2度ぐらいならヤラせてやってもいいかなーって?」
「っ…ちがっ…!」
「違う?違うの?俺、ヘタクソだったから、しつこかったからヤリ捨てられんじゃねーの?」
「っ──そんなことしないっ!!」
振り返ったその瞳から、涙が零れ落ちていた。
意味がわからなくて混乱する。
「だって、功太はもうここに来たくないって言ってたのに、僕の我儘でムリヤリ引き止めて…!」
「は…っ!?えっ、それ、昨日終わってる話じゃねーの!?」
「ここじゃ出会えないから、店変えるって…っ」
リュートさんはヒグッとしゃくり上げると、服の袖で涙を拭う。
「あー、ほらほら、強く擦ったら目が腫れちゃうだろ」
涙に唇を這わせると、目を大きく開けて見つめてくる。
美人なリュートさんは、いつもはおっきい目って感じじゃないんだけど。
零れ落ちちゃいそうだな…。
フッと笑うと、リュートさんがうッと顔を顰めた。
「……あっ、…ごめんね、リュートさん。歯、磨く前だった」
「……焼き鮭くさい…」
「顔、洗い直してください」
頭を下げると、頭上から吹き出す声が聞こえてきた。
「あっ、笑った!」
「笑ってない…」
なんで怒ってんのかな、この人は。
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