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客とバーテンの温度差[2]

【夏木Side】 リュートさんはすぐに年齢の話を持ち出して、自分ばっかり気にしてるつもりで、俺が感じてることになんか全然気付いてくれない。 年下だからって馬鹿にされてる訳じゃないんだろうけど、俺のことをちゃんと男として見てくれてないんだって───どうしたって結論はそこに辿り着く。 確かに俺達は2人共に男で、普通なら年上のリュートさんの方が立場も責任も上なんだろうけど…… 違うじゃん? 俺達の場合は、そうじゃないだろ。 「俺に気ぃ使ってくれんなら、こんな時間にとかそういう事じゃなくてさ、何かあったらすぐに連絡しろよ!」 こんな、怒鳴ったりして…… こういうとこも素直に頼れない、子供じみた悪いとこなんだろうって分かってる。分かっちゃいるけど、でも─── 「1人で泣いたりするな!泣くなら俺の胸で泣け!」 「…あの、ね?功太。あんなのは、よくあることだから…。僕はとっくに、慣れっこなんだよ」 そうやって、一人で瞳を揺らして、諦めたりしてるとこもぜんぶ─── 「全部、リュートさんの全部、俺に守らせてよ。貴方が好きで、大切なんだよ」 「───っ!」 ブルーグレイの双眸から、涙の粒が溢れて零れ落ちた。 「功太ぁ…っ」 漸く、わかったか…! 笑って手を広げると、飛び付くようにして抱きついてくる。 初めっからそうやって、俺に縋り付いて泣けばいいんだよ。 背中にギュッとしがみつく姿が愛おしい。 肩に顔を押し当てて、声を殺して泣いている。 その、いつもよりも小さく見える体を抱きしめて、髪を何度も撫でた。 可愛い……。 いかん、ムラムラする。 泣いてる恋人抱き締めながら、ち〇こ勃ってきてるとか……、俺マジ最低じゃん!! 「功太ぁ…」 知ってか知らずか、リュートさんは頬を擦り寄せると顔を上げ、涙に濡れた瞳で見つめてくる。 ………だーかーら! 「ん……」 唇を押し付けてちゅっと音を鳴らして、 「んーっ」 もっとちょうだい、とまぶたを閉じて…… 絶対この人、確信犯だ!!

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