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客とバーテンの温度差[3]

【夏木Side】 唇を合わせると、こっちから仕掛けるより先に舌がぬるりと侵入(はい)ってきた。 俺の感触を楽しむように、腰を摺り寄せてくる。 硬くなってる俺のモノに触発されるように、リュートさんにも熱が籠もっていく。 「ん……んン…っ」 腰を抱き寄せて強く擦り付けると、身体が興奮に小さく震えた。 舌をチューッと強く吸って、唇を離す。 差し出された舌と、口の端から唾液の線が零れた。 唇をつけて吸いとって、わざと耳に近付けてから音を立てて飲み込む。 リュートさんの手が俺の服をキュッと掴んで、目が蕩けるように細められた。 「こんぐらいでそんなエロい顔してんじゃねーよ」 自分の股間事情は棚上げで、その表情に苦笑する。 こんな顔、他のヤツに見せてないだろうな。 この人ほんと無防備にエロいからな。 まあ、交わすのは上手いみたいだし、好きなのは俺だけみたいだし、心配してねーけどっ! 半分自分自身に言い聞かせるようにして、 「ほら、座ろ、リュートさん」 カウンター席に腰を下ろした。 俺としては隣の席を指したつもりだったんだけど、リュートさんは嬉しそうに俺の膝に乗っかってくる。 う…うん……。可愛いから、いっか。 良い匂いするし。 つか、つか、膝に横座りって……、これ高嶺の花の秘書座りじゃないッスか!! 首に腕を回して、更にキスを強請ってくる。 俺=社長? リュートさん=秘書……? こんっな美人で可愛くてエロい人が秘書とか、超仕事手につかねえ!社長室という名の密室で、終日欲にまみれて組んず解れつ…… 「……功太?」 つい妄想に取り憑かれて目の前が疎かになった俺を、リュートさんが心配そうに覗き込んでいた。 ……すみません。 心の中で頭を下げて、少し高い位置から見つめてくるリュートさんに向き直る。 …うん。俺の方が背が高いとは言え身長差は5㎝程だから、太腿1本分、リュートさんが高い位置に来なくちゃおかしいんだよ。 なんでこの人、殆ど変わらない位置に目線が来る訳。ちょっと見上げただけで唇が重なっちゃう訳!脚長ぇなクソ! 立ってても腰の位置がさ、完勃ちの俺のモノ1本の太さ分、俺のが下だしさ。 そのお蔭でいいトコに当たるから、力が抜けたとこで擦ってあげることも出来るから悪いばっかりじゃないんだけど……。 まあ、今は丁度いっか。 どっちもキツイ体勢取らずにキスしてられる。 リュートさんの長くてスベスベの脚に感謝だ。

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