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いつもの匂いで[2]

「ただいま、皐月」 「あ、おかえりなさい」 お風呂から出てきた悠さんに、まだ乾かしてなかったのか?って、また頭をわしゃわしゃされた。 「紅茶ありがとう」 「身体冷えてないか?ホットの方が良かったか?」 「んーん、だいじょぶー」 グラスを2つ持ってリビングに移動すると、ついて来てドライヤーを掛けてくれる。 指が髪を梳いて…きもちいい。 悠さんの指は、長くて、綺麗で、でも俺の指よりちょっとゴツくて、力強くて、誰もが思わずほっぺを擦りつけたくなる造りをしてる……と思う。 誰も、は言い過ぎかな。でも、頼りがいのある綺麗な男の人が好きな人ならきっと、みんな。 この指で触れられたところは何処もかしこも気持ちよくなっちゃうし、もっと触って欲しくて自分からスリスリしてしまう。 俺の髪の毛が乾くと、悠さんはソファーに腰を下ろして今度は自分の髪を乾かす。 俺は悠さんの足の間に座り込んで、邪魔なシャツを捲り上げた。 「こら、後少しで乾くから待っていなさい」 「いえ、待てませーん」 脇腹、おへそへと唇を押し当て、ちゅっと吸い付く。 盛り上がった筋肉に舌を這わせて、 「…だめ?」 上目遣いに見上げると、悠さんはドライヤーのスイッチを切って、 「…駄目じゃないよ」 おいで、と両手を伸ばした。 「うんっ!」 悠さんの太腿に跨ると、シャツを脱がされる。 「皐月は下もすぐグショグショにしちゃうからな。脱いでおくか?」 脱ぐのも、頷くのもそうだって認めるみたいで恥ずかしかったけど…、小さく「うん」と返事した。 悠さんは片足ずつ、ズボンとパンツを脱がしてくれる。 布から抜け出した足を高く上げさせられて、その爪先を甘噛みされる。 「ぁん…」 初めての感覚に、体が震えた。 悠さんは足の指を、指の股を、愛おしむように舌でなぞってくれる。 親指を口に含んでちゅーっと吸われると、えも云われぬ快感が身体を駆け抜ける。 「ゃぁあっ」 「気持ちいいか?」 「うん…」 ちょっとしか触られてないのに、もう息が上がってる。 …きもちいい。 気持良すぎて、何度でもイッちゃいそう。 「皐月、触られて嫌なところは無いか?」 「…なん…で?」 持ち上げられた太股を舌が這い上がってく。 「いや…。妙な勘違いするなよ」 妙な勘違いって、なんだろう…? 頭が上手く働かない。 時々強く吸い付く唇が、赤い跡を散らしていって…その場所が全部、悠さんに支配されてくみたいで、…嬉しい。 「俺のぜんぶ───心も身体もぜんぶ、悠さんのだから」 足を高く掲げたままの恥ずかしい格好でこんなこと言うの、ほんとに恥ずかしいんだけど…。 「だからどこもイヤじゃない。ぜんぶ、悠さんの好きにしてください」 「……ありがとう、皐月」 ありがとうってお礼の言葉が、愛してるって変換して聞こえるような声。 脚から手が離れて、体を抱き起こされた。

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