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可愛い生き物[5]
【悠Side】
「なら、コレにするか」
なるべく普通に近いもの───装飾の少ないものを選んで、皐月から見えないように装着した。
お尻を上げさせて、ゴムの周りをローションで濡らしてからソコへ宛てがう。
触れ合う刺激にきゅっと窄んだ場所に、ズッズッと押し這入っていく。
段々に付いた溝が徐々に飲み込まれていく。
「ふぁあ…んっ」
嫌がっているくせに、この手の刺激は気持ちいいらしい。
ジェルの次は、凶悪なイボ付きのやつをこっそり使ってみようか。
「どうした?気持ちいいか?」
「あっ…。悠さんので、なか…いっぱい…。ン…きもちい…」
仰け反って震える背中を思わず抱き締めてしまう。
「あの…ね、後ろからだと、おしりに悠さんの…軟らかいトコが当たるんだ」
軟らかい所?
……ああ、袋の部分か。
「だから、中も外も気持ちよくて、後ろからも、すき」
腰に手を添えてゆっくりと動かすと、皐月は夢心地に喘いだ。
ゆるゆると擦り上げては、皐月の好きな奥を袋を擦り付けながら突いてやる。
「どうしよう…悠さん……」
崩れ落ちそうに震えながら、腕をいっぱいにピンと張って。
「ずっと気持ちよくて、だめになっちゃう」
はぁ…、と甘い息を吐き出す。
「イキたくなったら激しくしてやるから、ちゃんと言うんだぞ」
「はい……」
腰が左右に揺れている。
変則的なその動きに、俺の方が持っていかれそうだ。
「ぁん……悠さんの、舐めたい…」
こいつは…もう。どこまで俺のことを煽れば気が済むんだか。
「悠さんが2人いたらいいのに…」
2人いれば、挿れられながら舐められる、という寸法か?
…………………いや、駄目だろうそれは。
「却下だ。自分に嫉妬しなければいけない状態など有り得ない」
「だって、口にも欲しいよぉ」
甘えたな声を発する口に指を突っ込むと、ひどくヤラシイ舌遣いでちゅーちゅーと吸い付かれた。
……ああ、なるほど。これはクルな。
自分のモノを突っ込みながら、更に舐めさせるには……
自分の形の代用品が有れば良い、と言うことか。ディルドかなにか…?
素材はシリコン製にするとして、これは舐めるには不適切だから、こちらを挿入用として、…皐月の好きな、睾丸部分も付けてみたらどうだ?
代用品とする為には、やはり本人の形でなければならないだろう。
皐月も、俺のモノと違う形、サイズでは違和感を感じて夢中になれないだろうし。
「…注文を受けて型取り用の材料を送る形がいいか。いや、しかし例え大きくした状態でもそんなものを被せて型取りしている状況でサイズが保てるか…?少し大きめに作って…いや、膨らませる機能を付けた方が…それに硬さ……」
「もうっ、悠さん!」
皐月の怒鳴り声にハッとした。
「何一人で変なことブツブツ言ってんだよ!俺に集中しろよな!」
「ああ、ごめん、皐月」
こちらを向いて尖らせていた唇にキスをすると、今度は頬が膨らんだ。
「適当にされたら、泣くからな」
「いや、適当じゃないよ。ごめんな。皐月が口もアナルも同時にペニスで犯して欲しいって言うから、やってやれないか考えてた」
「っ…そんな言い方してないだろっ、ばか!」
そんな言い方はしていないが、そう言った主旨の要望ではあった気がする。
まあ、それを言ってしまえば益々機嫌を損ねることは分かりきっている。
困ったな……
どうやって機嫌をとろうかと言葉を探していると、───突然部屋の中に電子音が響いた。
「…ん?皐月のスマホか?」
「ほっといていいと思う」
しかし、長さから言ってもメール着信ではなく電話の方だろう。
しばらく待ってみて10回程で切れたから、大した用事では無かったのだろうと、腰の動きを再開させた。
「あ…ん…、悠さんのばか…」
「なに?気持よくて怒ってるのか?」
「…だって、考え事してた時も、俺だけよくなっちゃってたから」
「俺も、気持ちよかったよ」
「ほんと…?」
~♪~♪
───と。また着信か。
今度は皐月に断って、手を伸ばして携帯を見る。
「夏木…か」
「夏木?急用だと思う?」
夏木なら逆に面白いか、と着信をタップした。
皐月が慌てたように離れようとするから、腰をグッと引き寄せる。
『あ、広川?夏木だけど』
「俺だよ。今皐月に替わる」
『あ、香島さん!昨日はありがとうございました!』
「いや」
携帯を渡すと、皐月にジトッとした目で睨まれる。
肩を竦めて笑ってみせると、自由になった左手も使って、両手で皐月の腰を引き寄せた。
「ひぅっ!?……ばかっ」
携帯を出来るだけ身体から離して怒鳴ってくる。
馬鹿と怒らせる度に達成感を覚えるのは、何故なのだろうか。
「ほら皐月、早く出てやりなさい」
携帯を指差し促すと、口をむぅ、と尖らせながら耳元に当てる。
「はい。夏木タイミング悪いー」
第一声、文句から入った。
「いや、トイレじゃないけど…」
ゆっくりと腰を引いて、またゆっくりと挿し込んでいくと、
「んんーっ、……いや、違くて!」
もーっ、邪魔すんな!と小声で怒鳴られ、叩かれた。
腰を引いて逃げたそこから、透明のローションがトロリと垂れ出す。
その姿が悪戯をやめさせるどころか、余計に煽ることに繋がるとは、皐月は夢にも思っていないのだろう。
「……。ん、いいよ、替わって」
通話相手がリュートに替ったのか。
皐月は先程よりも笑顔になって、「こんにちはー」と挨拶した。
あいつが何故、皐月から兄(姉?)のように慕われているのかが余り理解できない。
優しいだの、綺麗だのと…。俺はかつてあいつに優しくされたことなどあったろうか?
「……。あ、…うん。使ってみました」
ん…?
電話の相手はリュートの筈なのに、皐月は何故か顔をカァーッと染め上げた。
「…んとねぇ…」
チラリと俺を見上げて、考えるように唇を指先でなぞる。
そして、恥ずかしそうにへへっと笑うと背中を向けた。
「多分、成功したと思う」
成功……?なんの話だ?
「え?悠さんに?はーい、替わりまーす」
考える間も与えず、皐月が携帯を手渡してきた。
仕方なく受け取って、耳へ持っていく。
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