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お墓参り[1]
悠さんの車で移動中。
俺の隣は運転席の悠さん。
後部座席にはリュートさんと夏木。
車はただの移動手段、なんだけど、ドライブみたいで楽しくてしょーがないっ。
悠さんとリュートさんのお祖母さんのお墓参り。
そこは都心から少し離れてて、距離が結構あるから、運転できる人が何人か居れば悠さんも楽出来ると思ったんだけど───
「夏木って免許持ってる?」
「ああ、持ってる」
「やった、えらい!」
「けど、ほぼペーパーな」
「営業なのに!?」
「営業なのに。都区内は電車移動のが楽なんだよ、道混むから。お前も知ってるだろ?それに、都会は駐車場代が高い。車自体が高い。維持費が高い。首都高恐い」
「なんだよもー。夏木かっこ悪い」
「そう言う広川は?」
「俺は大学の時、合宿行って取ったもーん」
「んで?」
「悠さんの助手席が俺の指定席です」
「なんだよ、お前もペーパーかよ」
「んじゃ、リュートさんは?」
「ん?僕は、歩ける範囲から殆ど出ないから。……10年近く、運転してないかな」
「10…年……」
「功太?何か言いたいことでもあるの?」
「いっ!?いえっ!!」
そっかぁ。リュートさんは悠さんの1コ下だから、もう32歳なんだよなぁ。
見えないなー。綺麗で可愛くて、リュートさんいいなぁ。
なんて話をしながら、安心して運転してもらえるのが悠さんしか居ないことを確認したのだった。
悠さん、ごめんね。俺たち役立たずで。
だからせめてと思って、コーヒー渡したりおやつを口に運んだり、甲斐甲斐し~くお世話したりしてる。
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