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見張ってて

【夏木Side】 香島さんから投げ渡されたキーでドアを開けて車に乗り込んだ。 逆側から入ったリュートさんが、肩にコツンと頭を乗せてくる。 「……ありがとう、功太」 腰に手を回して身体を抱き寄せた。 矢鱈に必死な、仕事の時よりも大分緊張していっぱいいっぱいな挨拶になっちゃったけど、あんなんで喜んでくれんだったら何回でも何百回でもやってやろうと思う。 次はもうちょっと、格好良くスマートに決めたいけど。 リュートさんが俺を見つめて、そして唇を重ねてくる。 「ふふっ、こーたぁ」 甘えてる時の呼ばれ方に、つい顔がデレッとしてしまう。 この人の前で格好つけるのは難しい。 「功太は、僕のこと好き?」 そんなこと、当たり前すぎてなんで訊くの?ってレベルだけど、ちゃんと欲しがってる言葉で返してあげる。 「好きだよ、リュートさん」 「じゃあ、どういうところが特に好き?」 言葉の遣り取りを楽しんでいるのか。 本当にそれを訊きたいのか。 「んー、そうだな…。 綺麗で可愛くてエロくてヤキモチ焼きで、そんでもってどうしようもなく俺に惚れてるトコ 」 10割本気の言葉に、リュートさんは少し不満げに、エロくないのに…と頬を膨らます。 「綺麗で可愛いは否定しないの?」 「最近は、功太と皐月くんからの褒め言葉だけは信じることにしてる。お世辞や、からかってる訳じゃないって」 他の人間だって本気で褒めてるんだろうに…。 だけど特別扱いは例え広川と一緒でもやっぱり嬉しくて、今度は俺からリュートさんに口付ける。 「じゃあ、後半部分は?」 「後半部分…?」 言葉を脳内で反芻したのか、リュートさんはほんのり頬を赤く染めて、 「どうしようもなく功太に惚れてるってコトなら、……大正解です」 顔を伏せた。 「照れてますか?」 「照れてません!」 からかいながら耳朶を弄っていると、 「ちょっ、リュートさん!?」 リュートさんの身体が座席からズルリと落ちた。 香島さんの車は広々空間で、リュートさんぐらい細い人だったら余裕ですっぽり、足元に入れちゃったりもする、けど。 「大丈夫?───って、なにしてんスかっ!」 ん?と上げた顔は、すっかりソレ仕様に出来上がってる。 「これ、香島さんの車なんだよ、分かってる?」 カチャカチャとベルトを外して、チャックも開けて布越しにパクリ、とソレを口内に含まれた。 「いやいや!2人がいつ戻ってくるかも分からないし」 「なら、功太は外を見張ってて。僕がこっちを見張ってるから。ね?」 ちゅっ、とわざと音を立ててその部分にキスをする。 見張るって…、おれのち〇この何を見張るつもりだよ、この人。 大切そうにスリスリちゅっちゅしてる姿は、そりゃあ可愛いけどさ……。 「御主人様、きもちいいですか?」 ───って、何設定だよ!? 「~~~っ!!」 あーーっ、もう無理!! 「せめてモノを取り出して、パンツ湿んないようにしてもらえますか?」 脚を広げてお伺いを立てると、 「はい、御主人様」 設定は続いているのか、リュートさんはパンツの前だけをズルリとずらすと、「わぁ」と感嘆の声を上げた。 「ご奉仕しますね、御主人様」 そして熱を持って跳ね上がった俺のモノを愛しそうに撫でると、これまた嬉しそうに朱い唇にはむ、と咥え込んだ。

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