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お母さん[2]

【リュートSide】 「功太ー!ティッシュ持っといで!」 功太が持ってきてくれたティッシュをお母さんが鼻に当ててかんでくれる。 功太が驚いた顔をして見ていた。 「母さん、リュートさん泣かした?」 「ああ、泣かしたねえ」 「なんで泣かすんだよ!」 「あっ、違う違う、功太!」 食って掛かろうとした功太を慌てて止める。 「お母さんが嬉しいことばっかり言ってくれるから、僕が勝手に泣いちゃっただけなんだよ。ごめんね、年上のくせに泣き虫で」 「え、そうなの?」 功太は途端に気不味い顔。 そして眉根を寄せて不機嫌そうな顔をして、お母さんを正面から見つめた。 「疑ってごめん。それから……ありがと…」 頭を下げる。まだ難しい顔をして。 恥ずかしい…のかな? 「なによ、お礼なんて言って」 お母さんはそんな功太を、カラカラと楽しそうに笑い飛ばした。 「リュートはうちの子なんだから、アンタがありがとうなんて言う必要無いの。そんな事より、功太!」 僕が使ったティッシュを功太に投げつけて、その手で指を突きつける。 「私にもう一人息子を作ってくれてありがとう。リュートのこと幸せにしなかったら、承知しないわよ!」 「……分かってるよ。 リュートさん、俺たちずっと、幸せでいようね」 治まっていた涙が、またぶわりと溢れ出した。 うっ…と嗚咽が漏れ出す。 もうだめだ。涙が止まらない───! 滲む世界の中、 「リュートさん」 功太の温かい声がして、おいでと手を広げるのが見えた。 それから、隣で同じように手を広げて、微笑んでいる小さな姿と。 だから僕は迷わず、広げられた腕の中へ飛び込んだ。 「なんで!?」 功太のビックリする声が聞こえた。 それから、お母さんの勝ち誇った笑い声。 僕はなんだか可笑しくなって、目からは涙を零しながら、ふふっと声を出して笑ってしまっていた。

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