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ごめんなさい[2]

【夏木Side】 思わず「嘘だー!」と突っ込みたくなるような言葉、だけど…… これ、本当なんだろうな。 ヤベー……、またリュートさんのこと怒らせた。 怒るっつーか、拗ねてるっつーか、……気付かれてなくて、ショックだったのかもな。 「えと、リュートさん…?」 顔色を窺うように呼び掛けると、リュートさんは何を思ったか指先を揃えて、深く頭を下げた。 …なんでお辞儀されてんだ?意味分から……はっ!!まさかリュートさん、 「今までお世話になりました。やっぱり貴方とは一緒になれません」 とかって……!? 俺、捨てられ─── 「ごめんなさい。言い過ぎました」 「へっ……!?」 勢いよく立ち上がれば、奏太が膝からコロンと転がり落ちて泣きそうな顔で見上げてくる。 「痛かったか?ごめんな」 抱き起して座り直させると、涼太が心配して奏太に声を掛けた。 奏太は涼太に任せて、親父のちょい斜め前。リュートさんの正面になる位置に移動する。 「あのっ、リュートさん…?」 リュートさんは顔を上げると、申し訳なさそうな顔をして、それから口角を上げて、笑った。 「好きな人がいる相手に勝手に好意を抱いておいて、相手が気付いていなかったからって、腹を立てて八つ当たりをしてしまいました。 ごめんね、功太」 それって、なんか………俺を好きになってごめんね、って、そう聞こえる……… そう言えば、初めの頃リュートさんは俺に対して、 ───年上なのに、上手く立ち回れなくて、ごめんね。 って。 広川から友達やめるってメールが来た時も、 ───どっ…どうしようっ、功太!?僕が意地悪したからだ! いつもリュートさんは肝心なとこで、自分のことばっかり責めてる。 ノンケの人ばかり好きになった。愛されるわけもないのに。 そう言って、結局この人は、中途半端に受け入れた相手のことじゃなく、好きになった自分のことを責めたんだ。 「リュ───」 「リュートさん、うちの家族になりたいんだろ?だったら、功太じゃなくて俺でもよくない?見た目は似たり寄ったりだし」 壮太は、冗談で言ったんだろう。 顔も、口調も、笑ってる。 俺のことをからかって遊んでるとか、リュートさんが綺麗だから口説く真似して遊んでる、とか。 だけど、───冗談じゃない!! 「───っ!おい壮太、ちょっとこっち来い」 俺は壮太の手首を掴んで、廊下に連れ出した。

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