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ごめんなさい[3]

【夏木Side】 壮太は面倒くさそうな顔をして、なんだよ、と空いた方の手で頭を掻いた。 「なんだじゃねえ。リュートさんにいちいちちょっかいかけんじゃねーよ」 「いいだろ、あんな美人なんだから。お前こそ独り占めすんなよ」 やっぱり、リュートさんが美人だから絡みたかったのか。 こいつは昔から、年上の美人に目がない。 中高の彼女はみんな美人の先輩だったし、街でも目を離した隙に良く美人のおねえさんを引っかけてた。 俺は嬉しくもないのに壮太が声を掛けた女性の連れをお零れとして譲り受け、失礼の無いよう面倒を見なくてはいけなかった。 だから当時は極力、壮太とは出掛けないようにしていたものだ。 今もフツーに一緒になんか出掛けたくねーけど。 …と、脱線。 改めて、胸の前で腕を組んで壮太を睨み付ける。 「……お前さ、分かってんの?リュートさん、男なんだけど」 「あ?男だってあんだけ美人だったらいんじゃね?」 「あのなあ…」 だからノンケの節操無しは嫌なんだよ。 そうやって、見た目が美人だからって手ェ出しといて、身体は男だからやっぱりちゃんと抱けないとかさ。 そんでリュートさん自体、何度も傷付いてるってのに。 「じゃあお前、リュートさんの尻穴舐められんの?」 俺の言葉が意外だったのか、壮太は「はっ!?」と言うなり目を丸くして固まった。 だから俺は、更に分かり易く続けて訊いてやる。 「尻穴舐めて、指入れて解して、ち○こ突っ込めんのかって訊いてんの」 「あ、…あー、そういう感じな。リュートさん美人だから穴2つ開いてる気ィしてたわ」 「開いてねーよ、付いてるもんも付いてっよ。それを扱いたりしゃぶったりすんのが、俺達にとってはフツーなの。当然の行為なの。小さな突起の乳首転がしてち○こ勃つんだよ。女のウシ乳とか、逆に萎えんの。気持ちわりーの」 「お、…おぉ。弟本人の口から聞くと、なかなかに生々しいな」 こういう話、家族とはしたこと無かったもんな。 壮太の方は一方的に聞かせてきやがったけど。 ハッキリ言って、乳に挿まれて扱かれた話とか、興味ないどころかマジキモかったんだからな。 それに比べて、リュートさんの適度な硬さのある滑らかな肌。薄紅色の小さな突起。弾力のある白く綺麗なお尻。 まさに芸術品だ、芸術品! 「スゲーな、お前。やっぱりアレ?リュートさんなら男でも女でも愛せる、とか言うやつ?」 しかし壮太は何を勘違いしているのか、随分と頓珍漢なことを言ってきやがる。 「…あんなあ、壮太。お前、俺の話聞いてた? リュートさんは男。だから俺は好きになったの。女は好きになんねーの」 どっちもイケんだったら無理に男に走んねーよ。 ゲイの市民権の無さ舐めんな。 「例え見た目も中身もリュートさんだろうが、女だったら好きになってねーよ。 俺、綺麗事苦手だからハッキリ言うけどな、俺は、今のリュートさんだから好きになったんだ。 もっと若かったり、太ってたり、女装家やオネエだったりしたら、好きになってなかったと思う。 男で、綺麗で、泣き虫で、ヤキモチ焼きで、料理上手くて、エロくてとびきり可愛い。俺の事スゲー好きで、甘えん坊で、……まだあるけど、もっと聞くか?」 「や、もういらねー」 胸元に手をやって、胸焼けしましたのポーズ。 そして壮太は、居間に続く襖をそっと音を立てないように開く。 「本人は、最後まで聞きてぇかもしんねーけどな。ね、リュートさん」 開かれた扉の向こう、リュートさんが気まずそうな顔をしてそこに佇んでいた。 「うっ…、ごめんなさい。盗み聞きしようとしてた訳じゃなくて、功太を迎えに来たんだけど、出るに出られなくなっちゃって…」 手首を引いて、抱き寄せた頭をそっと撫でる。 「あー、いいよいいよ。ごめんね、置いて来ちゃって。今リュートさんの好きなとこ、壮太に語ってやってた」 壮太が部屋に戻るのを横目で見送る。 「……うん。僕も、…沢山好きなところ、言えるよ」 へへっ、リュートさん、目の周り赤く染まってる。言いながら照れてんのかな。 「えー、マジで?それは照れんねー」 「…うん。照れた」 ちょっと目を伏せて、二の腕あたりの袖の布をぎゅっと握ってくる。 かわいーなぁ、マジでこの人っ! チューしてえ!!

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