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上書きと消毒[3]
【夏木Side】
「ひゃぅ…っ」
指が引っかかったのが気持ちよかったのか、リュートさんが小さく声を漏らす。
てか何それ、何その声、スゲーかわいーんだけど!
「はい。キレーキレー」
ウェットティッシュで拭いて、パンツとズボンを履かせてあげた。
ベルトをはめて、目元、口元も拭って、髪の毛を整えて。
「いってらっしゃい」
潤んだままの唇に軽くキス。
ホントはやだけど。
こんな表情 したリュートさん、表に出すのめっちゃ不安だけど。
仕事だからしょーがない。
「功太は…?」
ブルーグレイの瞳がうるうると覗きこんでくる。
「功太のは…しなくていいの…?」
『の』の形のまま固まった、半開きの口が色っぽい。
これ以上見つめてたら、その口に無理矢理突っ込んで、頭押さえつけて腰振っちゃいそうだ。
「俺はいいの」
わざと余裕ぶって、耳元に吐息を吹きかける。
「俺は後でココに、思う存分ブチ込むから」
お尻をムギュッと揉んで、開かせた窄みに中指を這わせた。
布越しでも、キュッと反応して中がうねったのが分かる。
「だから、最後まで仕事頑張ってきて。終わったら俺のこと、ココで気持ち良くさせてよ」
「はい……」
顔を赤く染めて頷くと、リュートさんは瞳を潤ませたまま、仕事場へと戻っていった。
ネクタイを緩めて、ベッドに腰を下ろす。
つか、あんな顔のまんまバーテンやるなんて、心配だし!!
今日は早めに店じまいとか。
俺もカウンターに座るか?まだ着替えてねーし。
でも、一旦引っ込んだリュートさんがあんな顔して出てった後、俺も出るとかマジ気まじー…。
広川に電話して来てもらう、とか。
……香島さんに怒られるか?
閉店までの4時間。俺は結局何もせずに、身体も心も悶々としたままリュートさんの帰りをひたすらに待ち続けたのだった。
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