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ネットニュース
悠さんの話によると、
種崎ゆかりが、昨夜ローズの事をツイートした。それが、リュートさんを加害者とした被害者振った、嘘偽りを並べた内容だったと言うのだ。
悠さんは見なくていいって言ったけど、後で確認したその内容は……
『今日はCMの撮影で浜○町のバーに行ってきたよ♪
壁がおっきい水槽になってて、お魚ちょー可愛かったぁ』
『そのゲイバーのマスターが金髪ロン毛の美人オネエだったんだけど、ちょーいぢわるで、ブスって言われちゃった。
ゆかりんちょーショック; ;』
『ゆかりん襲われそうになったのに、後から来た怖い男の人にすっごく怒られて、思わず泣いちゃったよ~・゜゜・ ・゜゜・
あれって美人局ってやつ?』
その他にも、ファンの慰めるリプにあること無いこと書き立てて、まるでリュートさんが悪人みたいになってた。
「…ヒドい…。あんな事しといて、自分が被害者なんて…!酷いこと言ったのだって俺で、リュートさんじゃないのに…っ」
悠さんがぼかして教えてくれた内容にすら俺は、憤りとショックとを隠せなかった。
『分かってる。大丈夫、大丈夫だ、皐月。お前も悪くない』
「悠さん、俺、夏木が戻るまでリュートさんの傍にいるから!」
『ああ。頼むよ』
きっと、俺が彼女を怒らせたからこうなってしまったのに、悠さんは恨み事ひとつ言わないで、俺の申し出を受け入れてくれた。
『それでな、皐月。小さな所だろうが、マスコミが動いている可能性がある。それだけで済めばまだいいが、心無いファンも押し掛けてくるかも知れない』
「……うん」
『表のエレベーターは3階に停まらないよう設定して、階段のドアも施錠した。リュートに連絡して、マンション側の玄関から入るようにしてくれ』
「うん。わかった。マンション側の防犯は大丈夫?」
『ああ。こっちもエレベーターは停まらないようになっている。階段のドアも施錠済みだ。それで、夏木が捕まらないんだが…』
「夏木には俺から連絡しとく。まだ外回りから帰ってなかったから」
『ああ、悪いな、皐月』
「だから、悪くないんだってば!」
また俺を気遣う言葉に頬を膨らますと、見えていないだろうに悠さんは少し可笑しそうにくすりと笑った。
『ありがとう、皐月。お前のお陰で、緊張が解れた。今、青山の探偵事務所に居るんだが…』
「探偵事務所…?」
『夏木が戻っても暫くリュートの所に居るだろう?用が終わったらすぐに連絡するから』
「うん、待ってる。気を付けて帰ってきてね」
『皐月も、気を付けて』
ほんとは、早く帰ってきてね、って…言いたかったけど……
拳をぎゅっと握りしめる。
もう、見えてきた。
ローズの入る、うちのマンション。
マスコミって、どんな人がいるんだろう…?
パパラッチっぽい感じ?
それとも、ドラマで見るような不精髭?
ファンは、なんとなく分かる。
ネルシャツ、ジーンズ、太ってたり、痩せこけてたり、眼鏡、リュック、とかそういうイメージ。
でも、これって偏見?
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