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ぎゅーっ
「え、ええと、俺はそもそも男が好きって訳じゃなくてね」
「うん」
「夏木のことは友達としか思ってなかったんだよ。夏木がね、その…俺のこと、想ってくれてたってのも、知ったのは大分後で、それも他の人に言われて…」
「功兄のこと、恋愛対象として見てなかったってこと?」
「うん。そうなんだ」
えー!功兄、こんなにカッコイイのにーっ、って奏太くんは驚いてるけど、
……ごめん、俺つい昨日まで、夏木のことフツメンだと思ってた。
「じゃあね、皐月くん。皐月くんの…かしまさん?」
「うん。香島悠さん」
「香島悠さんも男の人でしょ?どうして付き合うことになったの?」
奏太くんはキラキラした目で俺を見上げて、可愛く首を傾げる。
ホントに夏木と血の繋がった弟なのかな?
背も俺より低いし、何より可愛すぎるだろ、奏太くん!
つい、よしよし、と頭を撫でてしまって、不思議そうに見つめられた。
けど、すぐに嬉しそうにふふ、と笑う。
「皐月くん、可愛くて優しいから好きーっ」
「かっ…かわいいっ!奏太くんのが100倍可愛い!」
「待て、奏太!広川も!俺が香島さんに怒られる!」
奏太くんに抱きつかれてぎゅーって抱き返してると、夏木が慌てたようにイスから飛び下りて俺達を引き離した。
「じゃあ功兄に、ぎゅーっ」
奏太くんは振り返ると、蕩けるような可愛い笑顔で夏木の胸に抱き付く。
「あっ、ずるい!なんで夏木はいいんだよ!」
「俺はいいの」
そう俺に言い切ると、夏木はその表情をだらしなく崩れさせた。
やっぱり夏木は、イケメンじゃない。
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