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浮気者
奏太は弟だからいいの、なんて言って、夏木は奏太くんを抱きしめてるけど……。
じゃあなんだよ、そのデレデレした顔は!
兄弟って、弟に抱き付かれてそんなニヤニヤしちゃうもんなのかよっ!!
それ、悠さんが朝から俺のこと可愛い~ってだっこしてる時の表情と同じなんだけど!
こいつ絶対、奏太くんのことエロい目でみてやがる!!
リュートさーん!ここで夏木のやつ、浮気してますよーっ!!
心の中で憤慨して叫んでると、
「じゃあ私が皐月をぎゅーしてあげる」
不意に、背中からふわりと優しく抱き締められた。
女性の甘い香りが鼻を擽る。
「わっ、麗さんだ!」
「そうよ~。せっかく遠くから来てるんだから、もっと相手しなさいよ」
「なら僕は、涼太くんをぎゅってしちゃおう」
「リュートさんっ!?」
綺麗なリュートさんに抱き締められて、バーの柔らかな間接照明でも分かるくらい、涼太くんは顔を赤く染めた。
涼太くんもかわいいよねぇ…って見ていると、夏木から手を離した奏太くんが、「リュートさんダメーッ!」と腕を引いて2人を引き離す。
「涼太のばか。浮気者…」
「はいはい。ごめんって」
「ほら、リュートさんはこっち」
「えー?先に功太が浮気したのに?」
「誤解だってば!」
「ふふっ。奏太くん可愛いからなぁ。誤解かなぁ?」
ぎゅーってされてるリュートさんと奏太くんを見て、思わず、いいなぁって溜息が漏れた。
そんな俺に気付いたのか、麗さんが頭をヨシヨシって撫でてくれた。
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