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チョコと苺
悠さんは夏木のお母さんに向き直ると、夏木一家に向けて会釈した。
「リュートの従兄の香島悠と申します。弟がお世話になっております」
「こちらこそ、いつも功太がお世話をお掛けして。功太の母の史香 です。それからこちらが功太の弟の涼太 と奏太 です」
「涼太です」
「奏太ですっ」
涼太くんはしっかりとした様子で頭を下げ、奏太くんは挨拶をすると悠さんの顔を思い切り見上げた。
「皐月くんのかしまさん、功兄よりおっきいね!」
「こら奏太、失礼だよ」
「いや、大丈夫だよ、奏太君」
悠さんは奏太くんに笑顔で応じる。
……悠さんってやっぱり、可愛い男の子好きだよね…。
背の低い中性的な顔の子、とかさ。
「香島さん、何センチあるの?」
「18…3~4cmかな?」
「うわぁ、おっきい。俺より20cmもおっきいよ、涼太!」
「あ、…うん、凄いね」
でも、そうだよなぁ…。
奏太くん、かわいいもんなぁ……。
俺でも可愛いって思うもん。
きっと、タチの悠さんなら尚のこと。
浮気じゃないだろうし、俺、心広いし!今回に限っては許してあげよう!
ぽわんぽわん、って効果音が入っちゃいそうな奏太くんの笑顔になんだかんだ癒されてると、リュートさんが俺の飲み終わったカクテルグラスを振って、「皐月くん、お替わりは?」って訊いてくれた。
「悠さん、俺お酒飲んでいい?」
繋いだ手をクイクイッて引っ張ると、悠さんは「いいよ」って微笑ってくれる。
「じゃあねぇ、リュートさん。甘いカクテルください」
「はい。じゃあ、アポロってカクテル作るね。チョコレートと苺の味で、甘くて美味しいよ」
なんだろう…、「苺」って言ってるリュートさんが可愛い。
「チョコレートと苺…」
う、う~ん…、俺が言っても全然可愛くない。
やっぱりリュートさん、いいよなぁ……。
「リュートさんっ、俺も皐月くんと一緒のチョコといちごがいい!」
奏太くんの「チョコといちご」も可愛い。
どうして2人ともそんなに可愛いんだ!?
「ふふっ、皐月くんのはお酒だから、奏太くんのはノンアルコールで作るね。2人とも、少し待っててくれる?」
「「はーい!」」
リュートさんに返事をすると、同じタイミングで応えた奏太くんがおっきく右手を上げた。
可愛いなぁ…。
目が合って、お互いなんとなく、えへへって笑みを向けあった。
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