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またお前か!
「……悠さん」
繋いだ手にぎゅっと力をこめて見上げると、水槽の魚じゃなくて俺を見つめていた悠さんと視線が交わった。
「…なに見てんですか?エッチ」
「いや、俺の皐月はなんて可愛いんだろうと思ってな」
耳元に口を寄せて、他の誰にも聞こえないような声でそんなことを言う。
「俺が一番かわいい?」
俺も耳に唇を近付けて、囁くように訊ねる。
「俺には、お前だけが可愛く見える」
普通に繋いでいた手が解かれて、指の間に指を絡ませるように握り直された。
「……帰ったらな」
帰ったら、いっぱい可愛がってくれるってこと?
「───うんっ」
頷いて、もう一度手をぎゅって握った。
「ねえ、悠さん、今日は忘れて寝ちゃったりしない?」
「しないよ」
「じゃあ、一緒におふろ入ろ?」
「わかった。そうしようか」
「俺の体、洗ってくれる?」
「いいよ。中まで綺麗にしてあげる」
「うん…。悠さん好き~っ」
ぎゅって抱き付いて首筋に顔を寄せてクンクン匂いを嗅いでると、
「ブッ…!」
すぐ傍で誰かが吹き出す音が聞こえた。
「夏木~~」
また夏木に邪魔された!
恨めしい目で睨んでやると、緩んだ口元を隠すように掌で押さえて、ごめんごめんと謝ってくる。
「いや、だって、2人でいる時もずっとそんな甘いことやってんのかと思ったら、なんかウケて」
ウケて、って……、失礼なやつめ。
「別に、こんぐらい普通だと思うけどっ」
「功太。僕も2人ぐらい甘くしてもらってもいいけど?」
リュートさんも、夏木を試すように首を傾げて同意する。
「ほらほらっ。夏木もちゃんとリュートさんに好き好きって伝えないといつか捨てられちゃうんだからな」
「えっ、功兄捨てられちゃうの!?だったら俺拾うっ」
即行食い付く奏太くん。
「奏太っ」
慌てる涼太くん。
「すっ、捨てないからっ!」
更に慌てるリュートさん。皆可愛いっ。
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