なんとなく、フワフワした掃除グッズでテレビ台とか拭いてみる。 テレビのスイッチを入れて。 なんかバラエティーやってたっけなぁ？ 悠さんはあんな顔して──すごく大人でカッコいいのに──実はバラエティー好きだったりする。 コントや漫才の大会がテレビでやる時なんかは録画してまで観てるし、芸人にも結構詳しい。 ドラマや映画は、アクションやサスペンス、刑事、探偵ものとか好きかも。 あと、おばあちゃんの影響で時代劇も好きって言ってた。 俺が苦手だからあんまり観ないけど、ホラーも平気な人。 お化け屋敷も好きらしい。 前に、超怖いお化け屋敷に2人で行った時、腰が抜けて動けなくなっちゃった俺を、悠さんは軽々抱っこして歩いてくれた。 その温もりや逞しさに、すっかり安心して、肩に頭を預けてぬくぬくしてた。 ゾンビに「すみません、通してね」って、いちいち挨拶してるのを聞いてたら段々面白くなっちゃって、最後の方は悠さんの首にぎゅってしがみ付きながらも、ついつい笑っちゃってた。 そしたら、「大丈夫なら下りるか？」って床に足をつかされて、そのタイミングでゾンビが現れるもんだから、 「ゃっ…!?　やっ、はぅっ、やぁーっ！」 恐怖で悠さんの首に飛びついた。 悠さんは、安心させるよう背中をポンポンしてくれたけど、耳元には吹き出した時の息が掛かってきて……。 「なんで笑うんだよー!?もうやだーっ！」 変な悲鳴上げちゃったから笑われちゃったんだろうって、その時は恥ずかしくて涙交じりで笑うなって訴えたんだけど。 外に出た後、 「皐月、お前さっき俺に飛びついたとき、1mぐらいは飛んだんじゃないか？立ったままで皐月を見上げるなんて、段差の無い場所じゃあ初めてだったな」 そう言ってまた悠さんは、思い出したようにククッと笑った。 もう悠さんと一緒にお化け屋敷なんて行ってやらない!! 俺はその場でそう誓ったのに…… その後、何度お化け屋敷に連れていかれたことか。 その度、俺の反応を見ちゃ楽しんで。 悠さんはお化け屋敷よりも、お化け屋敷で怯えてる俺を見るのが好きなんじゃないかなって、最近ちょっと疑ってる。 ……まあ、悠さんが楽しいなら、怖いのぐらい我慢するけど。