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しあわせでいてね

2人でソファーに並んでコーヒーを飲んで、ほっと一息ついて。 マグカップを置いた悠さんの腕にギュッと掴まった。 「悠さん、ありがと」 「ん?なにが?」 顔を覗き込んで、頭をよしよし、って撫でてくれる。 「ホテル代、出してくれたでしょ?」 「ん……ああ、まあ、な」 言葉を濁して、お決まりのセリフ。 「こういう事は一番稼いでる奴に任せておけばいいんだよ」 でも俺は、それが当たり前になっちゃいけないと思うから。 「そう言ってくれると思ったけど、ね?やっぱり、ありがとう」 少し腰を浮かせて、頬にちゅって唇を寄せる。 今度は俺から顔を覗き込んで、 「ね、悠さん…、もっと欲しい?」 首を傾げると、 「一緒に風呂に入ろうか」 妖艶に微笑まれて、一瞬で顔が赤く染まりあがった。 俺が誘ってんのにーっ!悠さん、ズルいっ! 「もーっ、もおーっ!」 全然動揺させられないし、大人ってズルい! 俺も年齢的には大人の筈なのに、一生悠さんに勝てる気がしないっ。 足をバタつかせてると、フッと笑って、悠さんが立ち上がった。 「ほら、皐月。行くぞ」 そうして、手を差し出してくれるから。 「……はい」 悔しい気持ちなんてあっという間に引っ込んでしまって、俺はその手を掴んで、愛しい人を見上げて微笑う。 俺ってしあわせだなぁ、ってしみじみ感じながら…… リュートさんも同じように、夏木の腕の中でしあわせを噛みしめてくれてたらいいなって、そう思った。

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