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ナイショ

丸の内のビル内のお店で、ちょっとお高い和食膳のお弁当を5個、テイクアウトした。 佐竹さんも一緒だけど、何処でお弁当食べるのかな? 通りすがりにスイーツのお店をつい眺めてしまっていたら、悠さんがくすりと笑って、「どれが欲しいの?」と訊いてくれた。 「あ、あのねっ、リュートさんの分もいい?」 「いいよ。佐竹さんも如何ですか?」 「え、いや…、私は甘いものは余り…」 「アルコールは?」 「それは、なんでもいけます」 「でしたら、向こうでご用意できますので」 向こうでお酒って、ローズに行くのかな…? 「悠さん、夏木にも言ってあるの?」 「ああ」 「夏木…?」 佐竹さんが突然出た夏木の名前に眉を顰める。 なんとなく楽しい気分になって、 「行ってからのお楽しみ。今はまだ、ナイショですっ、えへへっ」 口の前に人差し指を立てた。 佐竹さんは「なんだよーっ」って不満そうな顔を見せると思いきや、 「あ、…ああ、うん…」 歯切れ悪く返事して、何故か顔を赤く染めたのだった。

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