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夏木の一歩目

「で、何する?トランプ?クイズ大会?」 ワクワクでリュートさんと夏木の方へ顔を向けると、 「怪談話?」 上からそんな意地悪な言葉が聞こえた。 「しないよっ、そう言うのって、話してるだけで霊がうようよ寄ってくるんだよ!リュートさんが危ないじゃん!夏木はいいけど」 もう、すぐそう言うこと言ってからかう。 むーん、と首を思いっきり上げて睨んでいると、 「リュートさんなら絶対、色情魔の霊に襲われるな」 今度は正面からおかしなことを言い出す奴。 「何言ってんの、夏木の変態っ!」 「功太の変態~」 リュートさんがクスクス笑っててちょっと楽しそうに見えるのは、…気のせいってことにしておこう。 少なくとも、夏木の言葉を肯定して笑ってる訳じゃないだろうしっ。 「トランプでもなぞなぞでもいいけど、……あの、香島さん、先にちょっと…いいですか?」 なぞなぞじゃなくてクイズ、と訂正を入れたかったけれど。 夏木のやつが矢鱈と真剣な顔をして悠さんを見つめるものだから、それが余計な茶々になってしまうような気がして、俺は思わず口を詰むんだ。 「なんだ?」 悠さんの落ち着いた声が、背中に振動を与える。 リュートさんが少し心配げに夏木を振り返る。 「先ほど、上司、営業一課長の佐々木に電話をしてきました」 「なるほど」 その言葉だけで夏木の言いたいことを理解したのか、悠さんが小さく答えた。 けれど夏木は言葉を止めずに、更に続ける。 「全て、話しました。そして、自分はリュートさんのことを守りたいのだと伝えました」

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