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タチってやつぁ
赤瀬さんはカウンター席の並びを見ると、夏木の席から数えて右に3番目の席に腰を下ろした。
一瞬で俺の座ってた席を把握、その隣が悠さんの席だから、って瞬時に判断できるオトナの人。
容姿も整ってるし、渋くて格好良いし、優しいし、気遣いできる大人だし、どうして恋人が居ないのか不思議なくらい。
「皐月、俺達も座ろうか」
赤瀬さんに撫でられた部分を上書きする様に髪に指をくぐらせる悠さんは、オトナの仕草だけどちょっと子供みたいだ。
「カウンターでいい?」
赤瀬さんと仕事の話でもあるのかな?
「うーん…」
なら、カウンターでいいよって答えたいけど……
「どうした、皐月?」
夏木と関谷くんの背中にジト目を向けていた俺の顔を優しい眼差しが覗き込んできた。
繋がれた手をくいって引っ張る。
「……あの2人が変態でやだ」
「変態…って、夏木と関谷君か?」
「うん。だってあの2人ね、」
耳元に口を寄せて、さっきの2人の妄想を悠さんに伝えた。
上にシャツだけ着た状態での縄跳び、なんて、大声で話すようなことじゃない。
俺の訴えを聴き終えた悠さんは、ツカツカと歩み寄ると背後から夏木の頭をボカリと叩いた。
「いった!…香島さん!?突然なんスか!?」
「兄さん!?───功太、大丈夫?」
赤瀬さんと話してたのに、瞬時に移動し夏木の頭をさすってるリュートさんは、自分が叩かれたわけでもないのにどうしてか涙目になってる。
「関谷君も、皐月の近くで下品な事を話さないで頂けますか?」
「ヒッ……、すみませんでしたっ!」
悠さんの言葉に、リュートさんの眉がピクリと反応した……ように見えたのは一瞬だから、気のせいだったかもしれない。
「下品な、って…。功太、どんな話してたの?」
「ヒィッ?!いやっ、大した話はっ、なにもっ」
「ん?その大したこと無い話を、僕は聞きたいんだけど?」
うっとり見惚れちゃうほど綺麗な笑顔のリュートさんに訊ねられて、何故か悲鳴を上げる夏木。
やっぱりコイツ、下品だって分かってて変な話してたな…。
「僕も知りたいな、夏木君」
赤瀬さんに声を掛けられて、今度は夏木、微妙な笑顔を返す。
開店当初からの常連さんで、リュートさん目当てで通っていた赤瀬さん。
後から現れてあっという間にリュートさんを攫っちゃった手前とか、やっぱりリュートさんを好きな相手だとか、そういう事情もある訳で。
夏木は赤瀬さんに対して、ちょっぴり頭が上がらない。ぶっちゃけちゃうと、苦手みたい。
「いや…、水着で縄跳びする巨乳グラビアアイドルは下品で嫌だなって話をしてたんですよ。ね、関谷君」
「はい。でも、恋人からの命令でムリヤリ、シャツ1で、下着を着けずに縄跳びをさせられているネコの子は可愛くて良いですよねって話になって」
「せっ、関谷君っ?!」
夏木が止めようとしてるけどもう遅い。
また関谷くん、さっきの饒舌な、興に乗ってた時の目をしてるもん。
「想像してみて下さい、香島さん、赤瀬さん!
可愛い愛しい恋人が、恥ずかしさで顔を真っ赤にして、見ないで、などと言いながら先が僅かに見える長さの白シャツで縄跳びをするんです。
ジャンプする度に裾が捲れ上がり、プルンプルンと上下するソコへは、見られているという羞恥と快感から熱が集まり、やがて赤く重量を増し、先端からは粘液の糸が…!
意思に反して気持ちよくなってしまった彼は、小さく堪え切れない嬌声を上げながら、涙で濡れた瞳でこちらを見つめ、
やっ、やらぁっ、見ちゃらめぇっ、シャツ、おっぱいに擦れちゃうぅっ…」
「…………」
悠さん…?
どうして俺は、いつの間にか悠さんの胸の中に抱きしめられてるんでしょうか?
そしてどうして悠さんのソコは、そんなに硬くなってるんでしょうか……?
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