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ドリンクの効果
視界の先の世界がどんどん上がっていく。
酔う、とも違う。
体がずり落ちたのかと思ったけど、お尻はちゃんとカウンターチェアーの上だ。
「───広川君!?」
「えっ?」
ここで聞く筈のない声に、視線を右にずらす。
「え…、たかやまかちょおっ!?」
驚いて発した声に、更に驚愕する。
今の、俺の声───!!?
いつもよりずっと高い声。
まるで女の人みたいな。
「まさかおれっ、おねえさんになっちゃった?!」
胸を触って確かめようとすれば、カットソーの袖が大量に余っていることに気付く。
「お姉さん?女体化、ねぇ…」
立てた指を振って、ノンノン。
それは中々難しくてね~、ってリンナさんは呑気に笑う。
「じゃあ、なにこれぇ…!?」
強炭酸で舌と唇がシビシビのせいか、うまく呂律も回らない。
これじゃ女性って言うか、幼児みたい。
「は………?」
体が縮んで、声は高く、喋りが拙い、胸も無い、ってコレ………
「おれ、こどもにもどっちゃったの!?」
「ピンポーン」
ピンポーン、って……リンナさん?!
「幼児化薬の製薬に成功したの~!すごくなぁい?うちのチーム!」
すごい……。
すごいよ。
すごいけど、すごい…けど………
ダメだろ!そんなん作っちゃあ───!!
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