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痛みに効くもの
確か、前に夏木が言ってた。
高山課長はゲイでネコ。で、佐々木課長のことを憎からず想ってる。
それって、好きって事だよな。
佐々木課長はバイで、高山課長がお気に入り。
うぅ~ん…、てことは……
2人が上手くいって、ラブラブでローズに来たってこと?
「広川、どうした?何かする為に下りたんじゃないのか?」
上方から声を掛けられて、ハッとして見上げる。
「そうだ!ささきかちょーのことなんて、どーでも良かった!」
「広川、それお兄さん地味に傷付くからね」
いつもの調子でなんか言ってるけど、ムシムシ!
今は、………そーだ!高山課長の胃を守ってあげなくちゃだ!
「たかやまかちょー!」
走り寄って見上げると、普段は顰められている不機嫌そうな眉がふわりと優しく垂れ下がる。
「どうしました?広川君」
「あの、おれっ、………あれ?」
高山課長の胃が痛そうなとき、俺、いつもはどうしてたんだっけ?
佐々木課長が仕事を邪魔しに来て、それで課長が怒って胃が痛くなって……
痛いとき…痛いとき………
「あっ!!」
いつもの事は何故か思い出せないけど、痛いって泣いてるといつもお母さんがしてくれること。
それを課長にもやってあげればいいんだ!
課長の胃の辺りに手をやって、優しくナデナデ。
「いたいの、いたいの、とんでけーっ」
パーッと痛みを飛ばすように手を振り上げれば、課長はまたキョトンと可愛い顔をして、俺を見つめた。
一瞬で痛みが消えたから、魔法みたいでビックリしちゃったのかな?
「えへへ。ね、もうイタくないでしょ?ぼくもね、お母さんにやってもらうと、さっきまで泣いちゃうくらいイタかったのが、ぜーんぜんイタくなくなっちゃうんだ!あずさお兄ちゃんにもきいたね!」
「広川君……」
痛くなくなったことに感動しちゃったのかな。
課長はうるうると瞳を煌めかせると、俺のことをぎゅってしてくれた。
「ありがとうございます!」
「えへへ~。よかったねぇ」
よろこんでくれた!
お母さんにも教えてあげよう。
お母さんに教わったことで、ほかの人にもよろこんでもらえたんだよ、って。
お母さんもきっと、よろこんでくれるよね!
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