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恐怖のお仕置き
BGMの消えた空間でリュートさんから経緯を聞くと、悠さんはすぐ行動に移った。
「もう暫く持ちますか?替わるなら…」
「あー、いい、いい。今動くとまた面倒なことになり兼ねねえから、何するにしても早くしてもらえるか?」
総てを聞く前に把握して答えた佐々木課長に、「感謝します」と会釈する。
そして考える様に店内に視線を流すと、
「そうだな…。精鋭を呼んで、二度とオイタが出来ないようにお仕置きするか」
リュートさんに縄か代わりになる物を持ってくるよう指示を出した。
「おしおき?すっごいこわいの?」
「ああ、すっごく怖いやつだ」
目を合わせて教えてくれる。
「ぼくもわるいコトしたら、それされちゃうの?」
怯えちゃった俺の頭をいつもよりもそっと柔らかく撫でてくれる。
「皐月にはしないよ。それに、皐月はこんな悪いことはしないだろう?」
「しないよっ!あんなことしたら、みんなが かなしくなっちゃう」
「そうだな。それが分かる皐月なら、大丈夫だ」
それから悠さんは俺のことを、一緒に入店してきた赤瀬さんに預けると、電話してくるから、とスマホを振って見せて店の外へ出て行ってしまう。
夏木は佐々木課長と男を避けるように回り道すると、縄を探しに行ったリュートさんの後を追って部屋へと消えていった。
「これは広川君、随分と可愛らしくなったものだねぇ。高いところは好き?」
赤瀬さんは何一つ動揺するでもなく、俺を高い高いして笑みを湛える。
「もーっ、あかせさん、ノンキすぎるよっ!」
文句は言ってみたけど、だけど……
俺も悠さんの登場にホッとして、恐怖や怒り、焦り、マイナスの感情なんてすっかり、消し飛んでしまっていたんだ。
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