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ずるい
【悠Side】
ガバリと皐月を股間から剥がすと、まだ舌を出したままの顔でキョトンと見上げられた。
「ゆーさん…?」
コテンと傾げられた首。
その瞳には未だ情欲的な色が残っている。
しかし相手は純真無垢な幼児だ。
「皐月、そろそろシャワーで流して一緒に湯船に浸かろうか」
「え…?」
「ほら、体もすっかり冷え切ってる」
皐月の体は冷え切っているどころか、今までしていた行為の所為か寧ろ火照っているくらいだ。
咄嗟についた言い訳に、皐月は気付かずにいてくれるだろうか。
一度は流したから泡など残っている訳もないんだが、膝の上に抱き上げて頭からシャワーを掛ける。
さっき同じようにシャワーで当てた時にははしゃいでキャーキャー言っていたから今度もそうなるかと思ったが、皐月は俺の腹にくっつくと首をプルプルと振り、髪に付いたお湯を弾き飛ばしてきた。
「…い……」
俯いたまま呟いた声が良く聞こえなくて、シャワーを止める。
「どうし…」
「ずるいもんっ、ゆーさん!」
突然声を荒げた皐月は、膝の上からキッと睨み上げてきた。
「ずるいずるいっ!」
胸を叩いてくる掌もペチンペチンと力弱いし、大きな瞳を潤ませながら頬を膨らます姿はすこぶる可愛い。
皐月と俺は、8歳違いか。
6才の皐月ともし巡り合えていれば、当時俺は14歳、中学一年生。
…微妙な時期だな。
まだ自らがゲイであることは自覚していないが、目を奪われるのは可愛らしい風貌をした男ばかりだった頃。
こんなに可愛い皐月と出逢っていれば、俺は正真正銘ショタコンになっていたかもしれない。
流石に、こんな子供をどうこうしたいと考える己に絶望し、リュートのように心を閉ざしただろうか。
それでも忘れられずに、お前の影を追い続けたかもな。
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