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皐月くんと手を繋ごう

【奏太Side】 元々可愛いけど、今はもっと可愛くなっちゃってる皐月くんと手を繋いで歩く。 前に会った時は俺より10cm近く背の高かった皐月くんが、今はずっとずーっとちっちゃい。 車の中、香島さんの隣に座ってる皐月くんを振り返って「今の体は何才なの?」と訊いたら、「6才だよ」って教えてくれた。 体の年齢と本当の年齢の記憶が混在してる状態なんだって、香島さんからの追加情報。 4月から小学校、って、今もう4月だけど2~3月の記憶みたい。 「皐月くん、クレープのお店ね、ソフトクリームもあるんだよ」 「そうなんだぁ!」 見上げてくる瞳はとってもキラキラ。 「クレープとソフトクリームと、どっちがいいかなあ?」 「うーんと…」 あっ、難しい顔になった。 一生懸命悩んでる。 「見てから決める?」 「うん!そーする~」 素直に答えてくれる皐月くん。 まるで弟が出来たみたい。 手をぎゅってすればぎゅって返してくれるし、名前を呼んで笑いかければお花がパッて咲いたみたいな笑顔を向けてくれる。 図々しいかもだけど、功兄が俺のこと可愛いって思ってくれるのもこういうトコなのかな。 俺が一番下だったから知らなかったけど、弟って可愛い! それとも、皐月くんだから可愛いのかな? 「かなたくん」 「なあに?」 言葉もちょっと辿々しくて、幼児感満載の皐月くん。 「りょうたくん、おいてきちゃってよかったの?」 その質問は俺と涼太を気遣っての事だったんだろうけど…… 「う~~っ…」 思わずぷーっとほっぺたが膨らんじゃった。 「涼太はいいの。最近冷たいんだもん。皐月くんと2人のがいい…」 皐月くんは俺を見上げて首を傾げる。 「あのね、涼太ってばデートしても手繋いでくれないし、うちの中でもあーんして食べさせてもらおうと思っても、自分で食べてとか言ってくるんだよ」 きっと皐月くんになら分かってもらえると思って、日頃の鬱憤をぶちまけた。 「好きだって言われる前の方が、絶対涼太優しかった」 皐月くんはそういうの無いのかな? ……無いんだろうな。 だって香島さん、すっごく皐月くんのこと大好きって感じだもんね。 「前に悠さんにプロポーズされた時にね、初めて気付いたことがあったんだけど」 唐突に、皐月くんの口調が変わった。 今までの子供の皐月くんじゃない。だけど、前に会った可愛いお兄さんでもない。 大人の男の人なんだ…って。 小さな体が急に大きくなったみたいに感じて、ふっと息を飲み込んだ。

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