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最悪ノ出会イ 3

金色の髪を靡かせ、漫画のように整った顔立ち。 成績も常にトップをキープ。運動神経も抜群。 成績優秀。容姿端麗。文武両道。 そんな完璧な九家月人には、秘密がある。 一つは喫煙者であること。 そしてもう一つは… 行き付けの古本屋兼たばこ屋の仮店主に弱味を握られたこと。 「何だよ古本屋兼たばこ屋仮店主って…ふわふわしたキャラしやがって」 本を棚に押し込めながら、月人はぶつくさと文句を呟いた。 こんな事になったのはつい昨日の話だ。 自らの失態が引き金だったとはいえ解せなかった。 「悪かったなーふわふわしてて」 店の奥から声が聞こえ、月人は振り返って相手を睨んだ。 黒い髪を今日は一つに束ねているものの相変わらずの眼鏡とジャージ姿の男。 頬杖をつきながら、レジ台に広げた本をパラパラと捲り一切こちらには目を向けない。 そのふてぶてしい態度には遺憾である。 「…怒んなって。眼赤くなってんぞ」 頬杖をつきながら皇は呟いた。 振り返ると、店の入り口のガラスに自分の顔がうつっていた。 普段は黄色い瞳が赤く染まっている。 月人ははっとなり慌てて瞼をぎゅっと閉じる。 落ち着け、俺は完璧。無敵。素敵。 呪文を2、3回唱える。 「…ふう…」 息を吐きながらゆっくり眼を開けるとあら不思議。 瞳は元の色に戻っていた。 月人は皇を振り返らず外に出て、垣根と建物の間の狭い道を通り店の裏へと回る。 「なんであんな偉そうなんだ…っ!? 昼じゃ無かったらあんなやつギッタギタのドロドロにしてやるのに…」 歩きながら怒りをこぼす。 しかしこの時代、この国で突然何の前触れもなく人が消えると大事件に発展してしまう為迂闊には手を出せない。 それにあの皇という男、ただ者ではないだろう。

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