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最悪ノ出会イ 5

「で?お前は三日も何やってたんだよ。使い魔らしく仕事をしろよ」 行動を全て規制しようなどとは思ってはいないが、シロエにはきちんとした仕事があり、ただの猫とは違うのだから 勝手にふらふらと家を開ければ主人として怒らねばならない。 「隣町にえれなちゃんというきゃわいー飼い猫さんがいるのです」 平然と答えたシロエに月人は歩みを止めた。 「…へえ…」 口角をあげて笑うとシロエも目を細めた。 「だいじょぶですよ! ごしゅーさまにはちゃんとおみやげっぽいものおいてきましたから!」 シロエの言葉に月人の怒りが頂点に届きそうになった。 「何が大丈夫なんだよ! どこに置いてきたんだよ!主人は俺だああ!」 月人の叫びに、そうだった!、とシロエは黄色い眼を恐いくらい丸くし本気で驚いているようだった。 「…たく、しっかりしてくれよ…お前は俺の使い魔なんだろ」 普段の月人ならここでシロエを殴り飛ばしている所だったが、今この場においては自分の味方はシロエしかいない。 それにこの使い魔はなんだかんだ言ってやる時はやってくれるのだ。…多分。 シロエは不思議そうに月人を見上げた。 「ごしゅーさま?」 「…バレたんだよ…ここの仮店主に」 唐突に情けなくなって、ぽつりと溢してしまった。 完璧な自分が、使い魔に弱音に似たようなことを溢すなど許したくはないが 今はそんな事よりもっと屈辱的な状態なのだ。 今まで完璧で通してきた自分が誰にも知られてはいけない事を知られた挙げ句、こんな風にこき使われているだなんて。 「ごしゅー…さま…が?」 シロエはまた驚いたように眼を丸くした。 長い時の中、初めての出来事なのだ。 月人は改めて事の重大さを思いしり、その場にしゃがみ込んだ。 古本がずっしりと膝にのしかかる。 「そうだよ…この俺が…あんなやつに…」 シロエは心配そうに月人の膝に片手を乗せた。 「だいじょぶですようごしゅーさま。そんなぽいやつやっつけちゃえばいいんですよっ」 「…シロエ……」 「ぼくはごしゅーさまの味方ですようー?」 やはりいつもより調子のおかしい月人にシロエは珍しく持ち上げてくれる。 そんなシロエの気持ちも分かってか、当たり前だろ、と言いながら立ち上がった月人だった。

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