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アイツノ正体 2

「あの方は…皇様は“魔女”、ってやつですよう。というかタイトルで既にバレてるっぽい!」 「魔女…?」 シロエのメタ発言に眉間に皺を寄せる。 魔女、とはあのおとぎ話に出てくる魔女のことだろうか。 それとも『魔性』みたいなのを言い換えているのだろうか。 「.....あいつは多分男だと思う....」 なぜか拍子抜けしてしまった月人は呆然とそう呟いた。 シロエは未だに身を小さくしたまま、黄色い目を細める。 「生物学上の性別は知りませんが..ね、 ごしゅーさまは田舎育ちだから知らないかもしれないですけど 魔女っていう方達はこの世の中で最も神に近い存在っぽくて ていうか、ぼくら使い魔には魔女イコール神って遺伝子的に刷り込まれてるっぽいんですよう だから逆らえないんですう」 長々とシロエが説明をする。 こんなに単語を知っていたのかと感心する程だった。 「でも魔女って 悪魔と交わった人間とか何とかってウィキペディアには書いてあるぞ。 神とは対極にあるんじゃないのか?」 月人は取り出したスマートフォンの画面を見つめながら呟いた。 現代っ子はすぐ検索、である。 「それは宗教っていうか、人の考えっぽくて.. 吸血鬼だって、一度死んだ人間がなんらかの理由により 不死者として蘇ったものと考えられている。って書いてあるっぽい!」 シロエの言葉に、お前いつ調べたんだよ...、と苦笑する。 「ぼくらのいう神は、創造主様のことですよう ぼくら使い魔を創ったのも魔女様っぽいんです だから魔女は人間動植物不思議なもの生物を含めた中でも 頂点に立つ存在なのですう! 魔界に住んでいらっしゃるような方々ですよ! 本来ならとても口なんて聞けないっぽいっていうか雲の上っぽいっていうかとにかくすごい種族なんですう!」 月人は軽くショックを受けた。 シロエの言うことが本当だとしたら、相当なことである。 今までは自分が一番だと思っていた。自分に敵う生物なんて存在しないとも。 しかし妙に納得もしてしまったのだ。 最初から皇は、逆らえない雰囲気を漂わせている。それに抗えなかったのも事実。 「…ますます腹立ってきた」 月人は舌打ちをしながら呟いた。 神、を崇めている訳ではないが言いなりになっているのはまた事実。 そもそもそんなにすごい存在なのであれば人間界ではなく魔界に引きこもっていれば良いものを。 「ん…?待てよ…って事は奴は人間じゃないって事か?」 月人ははっとなり呟いた。 人間社会で暮らすためには、人間のルールには従わなくてはいけない。 しかし自分と同じ“異形”であるならば、それは関係がないとも言える。 「ご…ごしゅーさまあ…」 シロエがまた震える声を出した。 月人は自然と口角がつり上がっていく。 「じゃあぶっ殺しても問題無いんだよなああ…?」 身体中の怒りが片手に集中したかのように、握り締めると関節が鳴いた。 赤く染まった瞳は、限りなく黒い笑みを浮かべていた。 「にゃああ…ごしゅーさまがあああ…」 シロエはがたがた震えながら、 ゲージの隅で自分の頭を抱え込んだのだった。

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