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魔女狩リ、返討チ 2

人間に怒られたのは初めてかもしれない。 月人は泣きそうなのを必死に堪えながら屋上へと続く階段の端っこで蹲っていた。 「おかしい...っなんなんだよ...」 成績優秀。容姿端麗。文武両道、であるはずなのに。 人間よりも高いレベルの生物のはずなのに。 巨乳美少女になった夢を見て魔法陣を書いて怒られるだなんて失態すぎる。 物事には理由があるはずだった。 月人は必死に思い出そうとしたが、 ぼんやりと、暗い部屋の光景がフラッシュバックし意味のわからなさに首をかしげる。 「..魔法....魔女.....?」 謎のキーワードに眉間に皺を寄せる。 なんだったか、なんだかとても屈辱的なことがあったような、ないような。 「ん?」 月人は立ち上がり階段を上った。 何かを思い出せそうな感じだ。 屋上へのドアをそっと開き、ポケットから煙草を取り出した。 箱に目を落とし、その黒と青のパッケージを眺める。 「ん....んん....?」 目を細めた瞬間、脳内に電流が走った。 「ぁぁぁああああああ!!!!!」 「魔女てめェェァァァァ!!!!」 月人は叫びながら古本屋兼たばこ屋の引き戸を思いっきり開けた。 脚立の上に座っていた皇がこちらを見下ろす。 「お前ね定休日の文字が見えなかったの?」 「うるっせえええ俺に何した!?変なことしただろ!?」 「変なこと?あー。それで興奮してんだ?やらしーわねえ」 「俺を見下ろすんじゃねえええ!!!」 月人はひたすらにテンパっていた。 皇はため息をつき、片手をこちらに向けた。 「はーい静かに」 人差し指で空中をなぞられ、月人の口が勝手に閉じてしまった。 月人は何も言えなくなり口元を両手で押さえその場にしゃがみ込んだ。 呆れたように皇に見下ろされ泣きそうだった。 「落ち着きなさい」 皇はそう言って脚立からゆっくりと降りてきた。 あれがどれくらい前なのかはわからないが確か自分は暗殺に失敗し、皇に何かの魔法をかけられたのだった。 月人は暫く皇を噛み付くように睨んでいたがやがて息苦しくなってきて地面に顔を向ける。 あれこれ呼吸も止められてね?

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