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極上ノ餌 5

一体どうなっているというのだ。 不可解で理不尽で不愉快だった。 何かをしていなければ発狂してしまいそうで、 猛スピードで夕餉の支度を整え 近くをふらふらしていたシロエを捕まえると風呂場へ直行した。 「やめてくださいやめてくださいよおおうごしゅーさまあああ」 シロエを風呂桶に突っ込み泡だらけにしてやった。 無の境地に至りたかったのだが、 頭の中は先ほどの皇の顔で満たされわけのわからないエネルギーが爪先から湧き出してしまう。 「うるせええええええ!おとなしくしろ!」 「ひぎゃあああぶあ」 シロエは凄まじい泣き叫び声を上げていたが構わず洗い続けていた。 長く生きてきて、捕食自体長らくしていなかったとはいえ初めてではない。 それなのに、なんであんな風に、なってしまうのか。 考えようとして再びエネルギーが溢れシャワーの出力を最大にした。 「ああああ"!溺れるっぽい死ぬっぽいいいぃぃ!」 魔女とは恐ろしい生き物なのだ。 月人はそう心から思い、誑かされている哀れな自分に涙が出てきそうだった。 「動物虐待反対」 「うわああ!!!」 不意に耳元で囁かれ、月人は思わず出力最大のシャワーを手放してしまった。 その隙にシロエは桶から脱出し、逃げ回り、一時期パニック状態で慌てふためきながらシャワーを止めた頃には辺りは泡だらけの水浸しであった。 「........なにしてんのお前」 恐る恐る顔を上げると、ずぶ濡れの皇は腕を組んで真顔で立っていた。 どうやらシャワーがもろに当たったらしい。 比較的無事だった月人は反射的に謝りそうになったが、そもそも全ての原因がこいつであると思うと腹が立つのだった。 「お前が!急に話しかけるからだろ!!?」 声が裏返りながらも怒鳴ると、皇は片眉をあげ黙っていた。 てっきり何か言い返されるかと身構えていたのだが、そうやって黙られると妙にそわそわしてしまって 仕方なく月人は再びシャワーから水を出し泡を洗い流し始める。 「....あっち行ってろよ」 「なに苛立ってんの」 「...っ、お前のせいだろ」 「は?意味わかんねえ」 どこかへ行って欲しい。 これ以上踏み込んでくるな。 そう願いながらも月人は泡が流れていく様子を必死に見つめていた。

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