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赤く、花のような殺人鬼 6

隔離施設で飾り立てられた殺人鬼は、 数週間ぶりに日の光の下に引きずり出された。 ゾッとするような白い肌に、 血のように暗く輝く赤い髪。 表情は物憂げでまるで本物の娼婦か、或いは傾国の姫のようだが、 その瞳は静かに炎のように燃えどこを見ているとしれない。 冷たい風が吹いていて、赤い髪をサラサラと揺らしながら ただ黙って立っているだけで与えられる威圧感に、部下達は息を呑んでいた。 決して身長も高いとは言えず体格も良いとは言えない。 虫も殺したことのなさそうな細い指に、簡単に折ってしまえそうな肢体。 誰も30名以上も酷い殺し方をした殺人鬼とは思いはしないだろう。 “贈り物”らしく豪奢な馬車に詰められ、旅立っていく姿を見送り ようやく胸のすく思いだった。 あの殺人鬼が収監されてからの日々は地獄のようだったのだ。 「大丈夫ですかね…あんなサイコキラー一人で行かせて バレやしないでしょうか」 隣で部下が不安げな声を出す。 「見ただろあの化けっぷり。顔だけは妙にいいようだからな。 それに腕は確かだ。 俺が知ってるだけでも留置所で3人は死んだ。」 「え…」 「拘束していたのに関わらず、だ」 「まさか…本当に魔女の生き残りなんじゃ…」 「さぁな。まあとにかくこれで清々したな」 あの妙な生き物のことは出来れば考えたくはない。 山奥の偏屈な領主にぶつけていい存在なのかどうかもわからないが 噂が本当であれば案外お似合いの2人かもしれない。 そんな希望的観測で、 とりあえず今は厄介者が居なくなった祝杯をあげる所存だ。

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