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ひとのかたちをしたやさしさ 2

「えーと…、その、俺って、助けてもらった感じ?」 怖々と子どもに問いかける。 ツツジにとっては気を失った後に拘束されていない状態は珍しく思えて、およその推測ではあるのだが。 少女のようにも少年のようにも見える子どもは、少し考えるように頭を傾けて その問いかけには答えず、先程青年が運んできたテーブルの上のものを指さした。 「……あ、俺に?」 ツツジの言葉に子どもは嬉しそうに微笑んで頷いた。 ベッドの上からでは良く見えないが、恐らく食事、だろうと当たりをつける。 そう思うとずっと何も食べていなかったため急に空腹が襲ってきた。 しかし子どもは別にここまで持ってきてくれるでもなくニコニコ微笑んで見守っている。 ツツジは仕方なくまるでモノのように動かない身体を引きずり布団から這い出た。 着ていたはずの着物ではなく、大きなシャツ一枚の状態で寝かされていたようだ。 片足が大袈裟なほど包帯でぐるぐる巻きにされ、体のあちこちが擦り傷だらけだった。 1週間前の火傷の痕もまだ平然と残っている。 「いたた……俺こんなに怪我してたっけ」 ツツジはその痛々しさに笑ってしまいながらも、 なんとかベッドの淵までたどり着き、そこから倒れるように床へ降り、這うようにして移動した。 この足では立てそうにない。 テーブルまでたどり着いたが、椅子に座ることは諦め とりあえず手を伸ばしてカゴを掴んだ。 中にはパンが3つほど入っている。 それを掴んで口に入れる寸前で、こちらをジッと見ている子どもと目が合った。 「……食べて、いいんだよね?」 ツツジが聞くと子どもはこくこく、と頷く。 不安に思いながらも空腹には勝てず、椅子の足を背に足を投げ出し床にへたり込んだままパンを口に含んだ。 なんの汚れもついておらず、腐りかけてもいないパンを食べたのはいつ以来だろう。 焼きたてなのかまだ暖かくてサクサクだった。 「うわ、うまぁ…」 ツツジは感動しながらあっという間に一つ目のパンを平らげてしまった。 世界一美味しいパンに認定しながらも 続け様にもう一個のパンに手を伸ばし齧り付いた。

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