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神の棲まう庭 4
「…そんな格好で外に出たら風邪を引くだろ」
「庭師のお兄さんがこれくれたよ。お茶ももらった」
ツツジは羽織っていた布を見せてくる。
やれやれと思いながらも彼を部屋に強制送還させるべく傍に膝をついた。
「薬が効いて麻痺しているだけだ、
無理して動かすといつまで経っても治らんぞ」
「…おじさん、俺のこと心配してくれてる?」
ツツジは赤い瞳でジッとこちらを見つめてくる。
あんまりそんな風に見ないで欲しい、気がおかしくなりそうだった。
「ほら、戻るぞ」
質問には答えられず、ツツジを抱え上げた。
足を折っているとはいえツツジはいつもおとなしく抱えられていて、嫌そうな顔一つしない。
自分よりもずっと体格のいい男に簡単に身体を預けて、恐ろしくはないのだろうかと疑問にすら思う。
「庭っておじさんの趣味?」
「庭師の趣味だ」
「ふーん。庭師のお兄さんは蜂蜜ちゃんのためだって言ってたなぁ」
「まあ、そうだな。庭は蜂蜜のためにあるからな」
「蜂蜜ちゃん愛されてるなぁ」
ツツジはへらりと笑って、肩に頭を預けて来る。
顎の下に彼の髪が触れていてくすぐったかった。
「ちょっと…羨ましいかも」
ぽそりとツツジが呟いた。
その声はどこか悲しげで、彼は今どんな顔をしているのかと思ってしまった。
それからツツジは黙ってしまって、減らず口に急に黙られると妙にそわそわしてしまうが
ゼアレスから何か言うことはなかった。
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