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ガンガン行くぜ! 4

私は最低だ。 早朝、ゼアレスは自己嫌悪と共に井戸から水を汲み上げそのまま頭から被った。 衣服を何も纏っていない上半身に対し、 山の朝はひどく厳しく接してくる。 水も氷寸前のような温度だったが知ったことでは無かった。 昨晩あれから力尽きるまで腕立て伏せなどをして誤魔化したが、 本当に異常事態であった。 それもこれも自分の心の弱さが原因に違いない。 今までこんなことは一度たりとも無かったのだから。 「心頭滅却」 ゼアレスは再び井戸水を頭からかぶった。 「うわドMがいるぞ。見るな蜂蜜」 庭師の声が後ろからしたが構っていられない。 己にはそもそも煩悩は備わっていなかったと思っていたが違ったようだ。 違ったのならば仕方ない、潔く認めてその煩悩を抹殺すればいいだけの話である。 自分には使命がある。 愛だの恋だの性欲だのに負けてはいられない。 ツツジは確かに不遇なのかもしれない。 大方そういう役割を全うするように厳しく躾けられたのだろう。 気まぐれに人並外れた能力を与えられたばかりに、良いように使われてきたのかもしれない。 しかし可哀想という同情で接するのもまた失礼な話なのだ。 もっと大人として、立場のある人間として時として厳しく接さねばならない。 そう心に誓う。 追い井戸水を頭から被り、 ようやくゼアレスの心はいくらか落ち着きを取り戻した。 ふう、と息を吐き顔や髪の水を軽く払って、置いておいた布で身体を拭きながら井戸のある屋敷の裏手から屋敷の正面へと向かう。 屋敷を取り囲む庭を抜けて入り口へと回ると、玄関の横の壁に梯子をかけ、蔓性の植物を誘引している庭師の姿が見えた。

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