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彼方側からの使者 2

カザリは少し遅れて追いかけてきた。 「…さて早速ご報告ですが、 使いの者によれば、やはり誰一人戻らなかったことに相当恐れをなしたようですね。 頭を抱えておいでだった、と」 「そうか…また勝手に事故で落下してしまっただけなんだがな…」 下界から見ると緑豊かでのどかそうな山のように見えるかもしれないが、この山は見た目異常に厳しいところがある。 急な天候の変化はもちろん、獰猛な動物や毒性植物が生息する地域もあるし 人が通ることなどほとんど想定されていないので足場の悪い場所などしょっちゅうだ。 今回の国からの使いご一行も不注意かなにかで事故を起こしてしまったのだろう。 それをまるで自分が襲ったかのように思われているのは癪だったが、弁明した所で何も得るものはないし それに勝手に恐れてこの場所に近寄って来ないのであれば寧ろ好都合と思う事にする。 「ええ。まあこれで暫く干渉は避けてくださるでしょう。 品物は無事に受け取ったとは伝えましたので。」 「ああ。助かった、感謝する 先に行っていてくれ」 ゼアレスは屋敷の中を進み、いつも使っている洗面所へ向かった。 適当な洋服を着ながら、屋敷の中心に位置しているメインホールへと向かう。 メインホールとはいえ普通の家でいうところのリビングルームといったところの活用法しかされていないのだが。 だだっ広い空間に乱雑に椅子とテーブルが置かれ 使われることはほとんどない。

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