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魔法の業の深さ 7

ベッドの上に移動し、 先ほど着替えたばかりのシャツのボタンを外していく。 「へ…へへなんか緊張するね…」 「さっさと終わらせたいんだが?」 「ごめんなさい!急ぎます!」 余計なお喋りは聞き入れてもらえず、仕方なくツツジはボタンを外しシャツを脱いだ。 自分でもあまり見たことのない背中を彼に見られていると思うと、自分が言い出したこととはいえ本当に緊張してしまう。 「…えっと…お願いします…」 ツツジは何と無く顔が熱くなった気がして、俯きながらあとは彼に任せることにした。 しかしさっさと終わらせたいと言った割に、ゼアレスはなにもしてこない。 ツツジは暫く大人しく待っていたが、あまりにも遅すぎて心配になり彼を振り返った。 「…どうかした…?」 もしかして火傷なんてなかったんじゃないか、と焦る。 嘘をついたとバレたら追い出されるかもしれない。 ゼアレスは目を細めていて、ため息をこぼしている。 「なんでもない、あっち向いてろ」 「う、うん……」 言う通りにすると、彼の手がそっと背中を撫でてくる。 冷たい液体を塗られる感覚が伝わって来たかと思えば、すぐにその場所が熱を帯びてビリビリと痛み出す。 あれ、そういえば背中ってずっと痛かったっけ。 そう思ったが、騒ぐとまた呆れられてしまう気がして ツツジは思わず脱いだシャツを握り締めて我慢した。 「…っ」 確かに薬が染みて痛みはするのだが、彼の指が背中を滑っている感触の方がずっと印象的だった。 大きな手は、優しくてどこか怖々と震えているようで 背中だけじゃなくてもっといろんなところを触って欲しいような、そんな気持ちになる。 「……お前ずっと我慢してたのか」 「…っ、え?なにが…?」 「………いや、いい。乾くまで暫くそのままでいろ」 彼の手が離れていき、 少々残念に思いながらもツツジは彼を振り返った。 「うん…ありがとう」 「後は自分でできるな」 「あ、おじさん…!」 ゼアレスは瓶を渡すと本当にさっさといってしまい、 ツツジはがっくりとため息を溢した。 「これもダメかぁ……」 半裸だったのに全く反応されなかったことに些かショックを覚える。 しかしすぐに火傷を早く治したら多少はマシになるかも?と立ち直り早く傷を治すことを誓うのだった。

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