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魔の差す領域 6
「先にシャワー、浴びてきたぜ」
何事かわからないが、入ってきたかと思えば静かに扉を閉めて
そこへ腕を組んで凭れ掛かり
濡れた髪を掻き上げるツツジをゼアレスは書き物をしていた手を止め、顔を顰めて見やった。
「あっそう…」
なぜ平然と部屋にやって来れるのか理解不能だ。
鍵をかけておけばよかったと莫大に後悔しながら仕事を再開した。
「あっそう、って…!もっと感想あるでしょ?
結構頑張ってピカピカにしたのにぃ」
ツツジは口を尖らせて文句を言ってくる。
「髪を乾かせ、風邪を引くぞ」
「ちぇー」
ツツジは肩にかけていたタオルを頭に被せ、ワシワシと髪を拭きながら
勝手に部屋の中央の暖炉へと歩いていき
勝手にその前に座った。
「…おい、何をしている」
「髪乾かせっておじさんが言ったんじゃーん」
「ここで乾かせとは言ってないだろ。自分の部屋でやれ」
「えー?なんでー?」
「なんでって…大体お前の部屋の方が近いだろ」
一階にあるバスルームからだと確実にツツジの部屋は通過してきたはずだ。
ツツジはこちらを振り返ってへらりと笑う。
「だっておじさんといたいもん」
なんでそんな言葉が出てくるのか。
ゼアレスは呆れながらもそれ以上は何も言うことが出来なくなってしまった。
しょうがないので彼が居座っている間はなるべく視界に入れないように過ごすしかないようだ。
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