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言えない理由 6

「こんなところにいたのか」 背後から大男が現れ、ツツジは馬に顔を舐められながら振り返った。 「おじさん!」 「随分な気に入られようだ」 ゼアレスはツツジの隣に立つと、顔を近付けてくるパースの頭を撫でた。 パースはゼアレスとも仲良くしているらしい。 なんだか自分よりもゼアレスと打ち解けているように見えて、やっぱり馬はすごいなぁと思うのであった。 「庭師のお兄さんがこれくれたから、ここまで来れたんだ ってあれ…?どこ行っちゃった?」 ツツジは嬉しさのあまりほっぽりだしてしまった杖を探した。 足元に転がっているのを見つけ、拾おうとするとゼアレスが先に拾い上げてくれた。 「ありがとう、おじさん」 渡された杖を受け取り、それを使って彼の方に身体を向けた。 「ねえねえ俺どこか変わったところあると思わない?」 ツツジに背を向けて馬小屋へと歩いて行くゼアレスの後を追いながら、結んでもらった髪を見せびらかしたくて問いかけた。 馬小屋の中に入るとゼアレスは立てかけてあった掃除道具を手に取っている。 「新しい服だろう」 「違うよーそれはさっき見せたでしょ!」 ツツジが口を尖らせていると、ゼアレスはこちらをチラリと見てきた。 わざとらしく首を左右に振って見せると、ゼアレスは考えるように眉間に皺を寄せる。 「……………髪…?」 「せいかーい!!結んでもらったんだ! ねえ俺可愛い?似合う?どう!?」 ツツジは褒めハラスメントすると、 ゼアレスはため息を吐きながら頷いた。 「可愛い可愛い似合う似合う」 「…なんっか心こもってないんですけどぉ?はぁ。まあいいや」 思っていた反応は返ってこず少々残念に思いながらも、 ツツジは邪魔にならないよう馬小屋の入り口付近の壁に寄り掛かっておく事にした。

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