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押せ押せ大作戦 1

死ぬ前に好きな人とセックスができるって それはもう“幸せ死に”じゃね? 自室のベッドの上に寝転がりながら、ツツジは早速前向きに考えていた。 確かに!と自分で返事をしては上体を起こした。 「よーし!ヤるぞ〜!」 サイテーの掛け声を上げながら、ツツジは早速作戦を考えた。 シャワーも浴びれるようになった事だし、清潔さは問題ないだろう。 火傷も部屋を暗くしてもらえればあんまり見なくて済むだろうし、なんとかなるはずだ。 ツツジは無理矢理準備が整ったことにして、クローゼットまで行くと少ないワードローブの中から良さげな衣服を吟味し 今着ている服を脱いで色々と充てがったりして一人ファッションショーをする。 「ツツジ、入るぞ…」 洗い立ての白シャツを着ている途中でそんな声がして振り返ると、 ゼアレスが目を丸くして引っ込んでしまった。 「すまん」 「ぜ、全然大丈夫だよおじさん!入って入って!」 服をとっ散らかしている所を見られ慌てて服を拾い集めてクローゼットに投げ込み 後ろ手に閉めた。 ゼアレスはちらりとこちらを覗き込み、 ツツジがシャツ一枚の状態なのを確認すると深いため息を溢した。 「お前本当良くないぞ…そういう無防備なのは…」 ゼアレスは再び廊下に戻ってしまった。 せっかくもらった服を散らかしてしまったことに対し怒られたと思ったツツジは罪悪感を感じながらも 杖を使ってそちらへ歩いていった。 「ご…ごめんなさい…」 「うわ、おい…」 「次から気を付けるから!とりあえずここ座ろ、ね?」 ツツジはゼアレスを引っ張りベッドをぽふぽふと叩いた。 男は渋々とベッドの端に座る。 ツツジもキャバ嬢のように身体をくっつけて彼の隣に座り、その顔を覗き込んだ。 「それで?俺に会いにきてくれたんだよね?」 「……やっぱ帰る」 「わー!待って待って待って!」 今にも立ち去る勢いのゼアレスの腕を引っ張る。 「なんか用があったんじゃないの!?」 必死に叫ぶとゼアレスはため息をついて、 ツツジと少し離れて座り直した。

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