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炊事場の悪霊 4

蜂蜜は花束の中から1本の花をツツジに差し出した。 中心が黄色く花びらが鮮やかなブルーの花だった。 「ん?俺にくれるの?」 ツツジが聞くと、蜂蜜は笑顔で頷いた。 彼の手に触れぬようにそっと花を受け取る。 「…ありがとう」 花を貰ったのは初めてだ。 ツツジはどこかくすぐったいような気持ちになってその花を見下ろした。 細い茎から凛と咲いている。 蜂蜜はまた花束の中から一輪の白い花を取り出し、それを自分の髪に挿した。 彼の耳の横で咲いた大きな花は黄緑色の髪によく映える。 蜂蜜はそれを指差してくる。 「うん、可愛いね。めっちゃ似合う」 ツツジが褒めると蜂蜜は首を振って、青い花を指差し また自分の髪に咲く花に触れる。 彼の言いたいことを少し考え、ツツジは同じように花を自分の髪に挿してみた。 「こ…こういうこと?」 ツツジが聞くと蜂蜜はパァっと笑顔になり大きく頷いた。 理解不能だが子どものやる事である。満足していただけたなら何よりだ。 「へへ…俺はあんまり似合わないかな?」 なんとなく恥ずかしく思いながらも頬を掻くと、蜂蜜は人差し指と親指の先をクロスさせ、それをツツジに向ける。 指でも鳴らすのかと思ったが、蜂蜜はにこにこしてそのまま またパタパタと去っていってしまった。 「…?」 どういうジェスチャーなのかよくわからなかったが、なんとなく微笑ましく思う。 ツツジはカップを覗き込み、残ったコーヒーに映る自分の顔を見下ろした。 花の妖精とはとても言い難い風体だが、赤い髪の中に咲く青い花がとても美しく見えた。

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