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炊事場の悪霊 6

パチ、と薪が割れる音が響いてツツジはハッとなった。 少し意識が別次元にとんでいたようだ。 頭を振りながら起き上がる、とちょうどゼアレスが広間に入って来る姿が見えた。 「…おじさーん!やっときた! もうっ今日1日探したんだぞ!」 ツツジはソファの上から身を乗り出すようにして彼を呼んだ。 いつも通りのローブ姿のゼアレスはこちらに気付くと一瞬嫌そうに目を逸らしたが やがてこちらへやって来る。 「何をしている?暖炉まで付けて…」 「ね、どう?いい感じでしょ。俺センスあるかも?」 そう言いながらも自慢の家具配置を見せてやった。 ゼアレスは眉根を寄せている。 「そろそろ夕食だぞ」 「うん。だからここなら絶対来るだろうと思って待ちぶせしてたー」 「何?」 「へへー追いかけてダメなら待ってみようぜ大作戦!」 ツツジは顔の横に手を置いて敬礼して見せた。 彼の眉間の皺はますます深くなっていく。 「ね、おじさん一緒に食べよーよ」 「…は?何故その必要がある」 「えーだってせっかくなら一緒に食べたいじゃん せっかく一つ屋根の下にいるんだからさぁ」 ツツジが口を尖らせて駄々をこねると ゼアレスはため息を溢した。

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