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炊事場の悪霊 10

視界が急に開けて、 ツツジはぼんやりと目の前の男を見上げた。 暗い中、男の顔がぼやけて見えた。 しばらく意識が混濁としていたが彼の手が肩を掴んでいて揺さぶられているうちに だんだん意識が霧が晴れたようにはっきりとしてくる。 「おい!しっかりしろ」 焦ったようなゼアレスの言葉が聞こえた。 ツツジは小さく微笑んで彼の胸の中に飛び込んだ。 彼はおずおずと抱きしめ返してくれた。 「ツツジ……よかった…」 ぎゅう、と背中に回した手に力を込める。 彼の香りに包まれて、 ツツジはずっとそうしていたいと思った。

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