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向き合うべきこと 1
彼の赤い瞳だけが薄暗い部屋に煌めいていた。
彼の髪に花を挿し戻してやったすぐ後だ、
急に部屋の窓がガタガタと揺れ、
暖炉やランプの火がまるで息で吹き消したかのように一瞬で消えた。
この感覚は二度目だった。
あの馬小屋での出来事、あの時も確かこんな空気が満ちていた。
急に不穏な風が吹いて、突き離されるような。
「ツツジ…?」
自分の声が震えているのがわかる。
急に目を開き口を閉ざした目の前の存在が、
まるで得体の知れない生き物のようだった。
もしかすると彼の“能力”に関係していることなのかもしれない。
「聞こえているのか?ツツジ!」
それでも彼がもしも危険な状態なのであれば、何もしないわけにはいかない。
ゼアレスは彼の肩を掴み呼びかけた。
ツツジは大きく開いた瞳を光らせてこちらを見上げてくる。
「ちゃんと向き合って。」
ツツジの声だったのかはわからない。
頭に直接響いてくるような、そんな不思議な声だった。
次の瞬間、窓の揺れは収まり部屋の空気が元に戻った。
ガラスも壊れてはおらず、さっきの一瞬がまるで夢か何かのようにさえ感じられた。
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