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向き合うべきこと 2

「なんだったんだ…?」 部屋は暗いままだったが ゼアレスは辺りをキョロキョロと見回し、異常がないことに安心しつつも不可解に感じた。 見下ろすと、ツツジは目を開いたままで瞳からは涙が溢れていた。 「ツツジ?」 もう一度彼を呼ぶが反応はない。 先程までのような気迫は感じられなかったが、人形のように動かないツツジに ゼアレスは焦りながらも肩を揺らした。 「おい!しっかりしろ」 自分の声がまるで泣きそうな声色で情けなく聞こえた。 もしも彼が失われてしまったら、そんな事を想像してしまう。 しかし揺すられて意識が戻ったのか、ツツジの瞳がゆっくりと動き やがて目が合うと彼は微笑んだ。 その力のないへにゃりとした笑顔はいつもの彼で、 ゼアレスは自分でも驚くほど心底安堵してしまった。 彼はこちらの胸に飛び込んでくる。 その身体を思わず抱き締め返した。 「ツツジ……よかった…」 今この手の中にある彼の存在は、奇跡に近い。 確かにそうなのかもしれない。 歪んでしまった彼は、 もう2度と手の届かない所に行ってしまうような気がしてならなかった。 自分の声なんか一切届かないような。 それは恐怖や、例えば人々を脅かす危険な存在だからとか そういった事よりも、ただただ悲しくて寂しくて心に穴が開くような事に思えるのだ。 ゼアレスは自分がどうしてこんな気持ちになるのかわからないまま それでもただ、この腕の中の存在を抱きとめることに必死だった。

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