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わがまま。 2

大広間の暖炉の前に向かい合わせで座り、朝食を摂る。 思えば誰かと食事をしたのなんていつ以来だろう。 同じ屋敷内にいるとはいえ庭師の生活拠点は離れなので、庭以外で会う事はほとんどないし。 悪霊がこだわり抜いて焼いているらしいパンを口に運びながら 大人しくスープを啜っているツツジを観察した。 食事に夢中になっていて黙っているだけかもしれないが、 今日はなんだか大人しくて元気がないようにも感じる。 そもそもあんな大怪我をしておきながら、 あっちこっちに現れる行動力と1人で騒々しい減らず口を叩ける方が異常ではあるのだが。 「……何?」 黙って観察していたゼアレスに気付き、ツツジはそう聞いてくる。 ゼアレスはなんと答えて良いか分からず肩を竦めた。 俺のこと見てたの?なんで?ねえなんで?どこら辺を見てたかだけでも教えてもらっていい?、と問い詰められるのを覚悟したのだが ツツジはそれ以上何も言わなかった。

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