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わがまま。 6

馬小屋まで歩いて行き、すぐに近寄ってきた新入りのパースに乗って行くことにした。 「馬は乗れるのか?」 馬の背中に鞍を付けながら、 カゴを持って見ているツツジに声をかけた。 「…乗ったことない」 ツツジは首を横に振った。 怪我をしているから一人で乗せるのは不安だったので良いのだが ツツジはどこか恥ずかしそうにしている。 馬の準備を整え、手綱を引き馬小屋の外へ出た。 パースはおとなしく待っていて、本当にツツジのことが好きらしい。 「ここに立て」 ゼアレスは彼からカゴを受け取り、馬の横を指差した。 ツツジはおずおずと馬に近付く。 彼から杖を取り、その身体をひょいと持ち上げて馬に乗せてやった。 「うわ、と…た、高ぁ…」 「落ちないようにしっかり掴まれ」 「う、うん…」 ツツジは珍しく緊張しているらしい。 彼の足を鎧に固定し、杖やカゴをパースの歩行の邪魔にならぬようにうまく馬具に括り付け 手綱を引いてゆっくりと馬を動かした。 「わ、わ…」 軽快な足取りでツツジを運ぶパースは実に良い馬だと感じる。

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