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わがまま。 7

庭を抜けて、屋敷の裏手から入り口へと回る。 屋敷の正面へ行くと、玄関前で作業をしている庭師と梯子の下で庭師を眺めていた蜂蜜と遭遇した。 蜂蜜はぴょこんとこちらへ近寄ってきてキラキラした瞳をツツジに向けている。 庭師は興味なさそうだったが、心を読んだのかやれやれとこちらを振り返ってくる。 「出かけるのか」 「へへ俺たちこれからデートなんだー」 「だから言わんでええっちゅーに」 改めて口に出されるとなんだか気恥ずかしい。 庭師は梯子を背に器用にこちらに身体を向けてやれやれと言ったように目を細めている。 「夕方には戻るが…大丈夫だな?蜂蜜」 蜂蜜は笑顔でこくこくと頷き、人差し指と親指の先をクロスさせた両手をこちらに向かって突き出してくる。 その謎のジェスチャーにゼアレスは眉根を寄せた。 「なんだそれは」 「あ、俺前もそれされたことある」 ツツジも首を傾けながら苦笑している。 「きゅんです、だ」 「え?なにそれ?」 「最近の蜂蜜のブーム」 庭師はまたやれやれとため息をつき、 いい加減呆れすぎたのかまた作業に戻ってしまった。 「行ってくるね」 ツツジは蜂蜜に嬉しそうに挨拶をしている。 ゼアレスはツツジの後ろに飛び乗って、 一応彼が落ちないように後ろからその身体を支え手綱を握った。 「わ、おじさん…」 「しっかり掴まれ、行くぞ」 「…うん」 パースはゆっくりと歩き出し、 だんだんスピードを早めていく。

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