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夜明け前が一番暗い 1

もっともっと、 ずっと、あなたのそばにいられたなら。 日は傾き、やがて夜がやってくる手前。 シーツの上に咲く赤い花は、世界でたった一輪だけの美しい存在だった。 唇を何度も重ねて、所在なさ気に胸に触れてくる手を捕まえて その掌にキスをした。 ツツジは眉毛を下げて、どこか辛そうな顔でこちらを見上げている。 「おじ、さん…」 不安げな声に彼の頬を撫でてまたキスを落とした。 ちゅ、ちゅと何度も唇を食むと彼の手が首の後ろに回り やがて舌が侵入してきた。 「ん、…ふ、…」 舌と舌を絡め合うと、勝手に身体が熱く熱を持ちどうしようもなくなる。 今までこういったこととは距離を置いていたゼアレスにとっては未知の領域なのだが それでも逃げ出したい自分よりも彼に触れていたい欲望の方が大きく勝っていた。 深く深くキスをしながらも彼の手がこちらの服のボタンを外し始める。 全て外し終わるとそっと唇が離れ、ツツジは唇を舐めながら少し身体を起こし羽織っていたカーディガンを肩から外した。 「ん、…俺のも、脱がして…?」 ゼアレスは頭に昇った血で鼻血でも出そうだったが、言われた通りにする他ない。 震える指先で彼のシャツのボタンを外していく。 チラチラと隙間から見える白い肌に、いちいち心臓が高鳴って煩いくらいだった。 「ねえおじさん…最後まで、してくれる?」 シャツとカーディガンを脱ぎ捨て、ツツジはワイドパンツに手をかけながらそう聞いてくる。 どう答えて良いかわからずゼアレスは内心焦りながら、さっさと服を脱いでいるツツジから思わず目を逸らした。 「その……した、こと、がないので……うまくできる自信はないぞ…?」 思わず口元を片手で塞いでごもごもと小声で呟くとツツジは小さく笑った。 「じゃあ俺がおじさんの初めて貰えるんだ?」 「う”っ…」 改めて口に出されると心に来るものがある。 いい年をしてこんなに恥ずかしくて爆発しそうなことがあるとは夢にも思わなかった。 それでも、逃げてはいけないと直感しているから ゼアレスは吹っ飛びそうな体を押さえ付けながらその美しい存在に向き合った。 「私のはじめてを、お前にやる……」 ツツジは一瞬泣きそうに目を細めて、すぐにこちらへ抱き着いてきた。 「うん……嬉しい…あと可愛いすぎてまじでやばい」 「かわ…!?」 生まれて初めて言われた言葉に 目の前がチカチカする感覚を覚えるのであった。

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