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痛みの中で 1

パースは非常に優秀な馬だ。 行きはあんなに苦労していたというのに。 重たい飾りを脱いだ美しい黒い馬は、休むことなく山を駆け下り 日が高く登る頃には、あの日自分が収監されていた忌々しい隔離施設の前に戻ってきていた。 施設の門の前に立っていた守衛たちは、 ツツジの姿を見つけるや否や警報を鳴らして門の中に飛び込んでいく。 ツツジは門の前まで行くと、そっと馬から降りて パースをギュッと抱きしめた。 「ありがとう。もうお行き、好きなところへ」 ツツジは手早く手綱を外してやり、馬を自然のままの姿にしてやると 人が集まる前に逃してやった。 1人取り残されたツツジは、 小さく息を吐き、両手で顔を覆った。 急に冷たい風が吹き始める。 わらわらと武装した男達が門から湧き出てきた。 「……任務は成功したんだろうな?」 男達の中から声がする。 ツツジは小さく笑って、首を傾けた。 「火炙りになりに来たよ。」

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